HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 19 Apr 2012 21:21:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:新東名開通 不可欠な高速道路とは:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

新東名開通 不可欠な高速道路とは

 新東名高速道路が静岡県内で先行開業した。災害に強い新たな大動脈と期待したい。一方で、凍結した高速道路工事が次々と再開されている。国土交通省の一存で決まる仕組みを変える必要がある。

 新東名は神奈川県の海老名南ジャンクション(JCT)から愛知県の豊田東JCTまでの全長二百五十四キロで、この七割弱に当たる静岡県御殿場−三ケ日間が開通した。二〇二〇年度には全線が完成する予定だ。

 この地域は南海トラフで大地震が発生すれば、最大二〇メートルを超える津波が予想されている。太平洋岸を走る現東名は台風や大地震時の脆弱(ぜいじゃく)性がしばしば指摘された。東日本大震災では大津波警報の影響で、静岡県富士−清水インターチェンジ間が丸一日通行止めとなり、混乱が広がった。

 新東名は現東名から十キロ前後、内陸を通る。管理する中日本高速道路会社は「津波の不安がないうえ、橋梁(きょうりょう)やトンネルは最新技術で耐震性を増した」と説明している。さらに非常食や燃料を備蓄したサービスエリアや防災・医療用のヘリポートが十二カ所整備された。物流や観光にもたらす効果に加え、こうした非常時のライフラインとしての機能が、新東名の価値を高めている。

 新東名開通に合わせたように国土交通省は、凍結していた東海北陸自動車道など六区間の四車線化工事や新名神高速道路の未着工二区間の再開を唐突に発表した。いずれも採算性で問題ありとされたものだ。政府内で議論した形跡もないままの決定は大いに疑問だ。

 高速道路を建設するかどうかは、〇九年までは有識者や与野党の国会議員らによる国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)が決めていた。民主党政権は「高速道路計画にお墨付きを与えるだけ」との理由で国幹会議を廃止したが、約束した「新たな仕組み」はいまだつくっていない。

 このため国交相の判断だけで建設が決まり、現実には国交省の官僚の意のまま建設に歯止めがかかりにくい状況だ。

 これではいけない。渋滞解消や防災面、採算などの経済合理性−こうした多様で公平な観点から本当に不可欠な道路なのかを、第三者が判断する議論の場が必要だ。その過程を外部からチェックできる仕組みも求められよう。

 今後は、これまで造り続けた高速道路の維持管理も大きな問題となってくる。「無駄な道路」をこれ以上造る余裕はないはずだ。

 

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