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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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鳴らし損ねた祝砲ほど惨めで気まずいものはない。人工衛星と称する北朝鮮のミサイルだ。本日の金日成生誕100年と孫の跡目を祝し、はるかフィリピン沖まで「長距離の弾道」を描くはずが、爆発して韓国近海に落ちてしまった。乾杯のグラスが砕け散るように▼外国メディアを招いた手前か、当局は「衛星は軌道に乗らなかった」と不首尾を認めた。第1書記と国防第1委員長になった金正恩氏はその夕、先代の巨像の除幕式で、何事もなかったように手を振っている▼飢える民をよそに、なけなしの金がまた浪費された。約700億円とされるミサイルの費用は、年間輸出の半分強にあたり、食糧不足の3年分を賄える額という。米国からの支援もご破算となった▼国内では「軍事の天才」と宣伝される正恩氏のこと、赤恥を埋め合わせるため、次は核実験に及ぶという観測もある。やけのやんぱち、打ち上げがだめなら仕掛け花火で、という了見だろうか▼なにせ核なしでは、しがない独裁国である。核爆弾を米本土まで飛ばせる技術を示さぬことには、外交カードがない。かくて暴走する金王朝に、外から何を言っても空しい。空腹の恨みから立ち上がる勇気と、それを束ねる傑物の登場を待ちたい▼わが政府の対応もおぼつかなかった。発射45分後の発表では防空の用をなさない。「成功」ならとうに領空を過ぎている。冬の花火にも似て、上げるも待つも寒々しいミサイル失敗の巻。間の抜けたものを内外で見せられた。