HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52066 Content-Type: text/html ETag: "fff6b-1ed2-4bd9195e1c54b" Expires: Fri, 13 Apr 2012 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 13 Apr 2012 22:21:10 GMT Connection: close 「衛星」発射失敗 強固な北朝鮮包囲網の構築を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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「衛星」発射失敗 強固な北朝鮮包囲網の構築を(4月14日付・読売社説)

 3代にわたる権力継承完成と金日成主席生誕100年の祝砲のはずが、政権の威信を失墜させる結果に終わった。

 北朝鮮が、国際社会の警告を無視して、「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射を強行した。

 しかし、発射直後に爆発し、破片が黄海に落下した。米国防総省は、2009年4月と同様の「テポドン2」改良型とみている。

 ◆追求すべき安保理決議◆

 失敗はしたものの、「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射」も北朝鮮に禁じた国連安全保障理事会決議への明らかな違反だ。決議を愚弄する北朝鮮の行為は、決して看過できない。

 食糧支援と引き換えに長距離ミサイル発射の一時停止などを約束した2月の米朝合意は反古(ほご)同然となった。国際社会は、ウラン濃縮活動を含む核開発の中止を引き続き追求しなければならない。

 日米など主要8か国(G8)外相会議が、核とミサイルの放棄などを北朝鮮に求める議長声明を採択したのは、時宜を得た対応だろう。

 安保理も、新たな議長声明や決議を採択すべきだ。北朝鮮を非難するとともに、経済制裁を強化し、国際包囲網を強固にする必要がある。

 日本も、核やミサイル、拉致問題の包括的解決を目指し、日朝交渉の再開を探らねばならない。

 懸念されるのは、発足したばかりの金正恩新政権が、発射失敗の挽回を図ろうと、3回目の核実験を急ぐ可能性があることだ。

 3年前、今回同様に「衛星」と称した長距離弾道ミサイル発射が、安保理議長声明で非難されるや、北朝鮮は猛反発し、2回目の核実験に突き進んだ。

 核実験を自制させるには、関係国が結束し、毅然(きぜん)とした対応をとることが肝心である。足並みが乱れれば、北朝鮮の思うつぼだ。

 焦点となるのは、安保理常任理事国の中国の対応である。

 中国は、北朝鮮の崩壊を恐れ、支援を強めてきた。今回も圧力を強めると北朝鮮が反発し、武力挑発の懸念があるとして、関係国に「冷静な対応」を求めている。

 そんな長年の融和的な態度が、核実験を強行しても国際社会には止める能力も意思もない、と北朝鮮がみくびり、暴挙を重ねる結果を招いてきたのではないか。

 ◆核ミサイルの断念迫れ◆

 北朝鮮は今回、外国の専門家や記者団を発射基地や管制センターに案内するなど、「透明性」の演出に努めてきた。初めて発射の失敗も認めた。「衛星」発射がミサイルではなく、「平和利用」だと正当化したいのだろう。

 いくら体裁を装っても、最終的に狙っているのは弾道ミサイル技術の向上だ。飢餓に(ひん)した多くの国民を犠牲にしてまで巨額資金を「衛星」に投じるのは、核兵器を運ぶミサイルの開発を急いでいるためにほかならない。

 核実験やミサイル発射を繰り返せば、北朝鮮はいずれ、核ミサイル配備の段階に行き着こう。日本が最も警戒すべき事態である。

 日本にとって直接の脅威は、既に実戦配備されている射程約1300キロの中距離弾道ミサイル・ノドンだ。日米同盟を強化し、対北朝鮮抑止力を維持することが欠かせない。

 自衛隊と米軍は今回、横田基地の日米統合運用調整所を通じて、ミサイル情報を共有し、部隊運用で役割を分担した。その意義は大きい。

 ◆日米共同対処が重要だ◆

 自衛隊は3月末から、東シナ海にイージス艦、沖縄県などには地対空誘導弾部隊を配備した。二段構えの迎撃態勢は、万一の事態に備えたものだった。

 沖縄県の自治体と協議・調整した経験も踏まえて、今後の日米の共同訓練や対処計画の向上につなげることが重要だ。

 残念なのは、政府のミサイル情報の発表がもたついたことだ。

 首相官邸は、韓国の発表後も発射を確認できず、日本の正式発表は発射の40分以上も後だった。

 日本は、米軍の早期警戒情報に依拠しているうえ、09年の「発射」誤報を踏まえ、確認作業に慎重を期したことは理解できるが、あまりに遅いと言わざるを得ない。

 情報伝達の遅れの検証と、それに基づく伝達方法の改善が求められる。第一報の発表も「発射を確認していない」ではなく、「発射情報があり、確認中」とするなど工夫の余地があったはずだ。

 全国瞬時警報システム(Jアラート)などの自治体への速報体制にも不備が判明した。防災無線の整備率を高めるなど、日本全体の危機管理体制の強化が急務だ。

2012年4月14日01時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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