HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 12 Apr 2012 22:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:金正恩第1書記 若い指導者に不安漂う:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

金正恩第1書記 若い指導者に不安漂う

 北朝鮮の後継者、金正恩氏が新設ポストの労働党第一書記に就任した。側近に補佐され国政を運営するが、最初に下す命令はミサイル発射になる。強硬路線は当面続くと警戒せねばならない。

 北朝鮮の決定は意表を突いた。金正恩氏は予想された最高指導者の党総書記には就かず、総書記は昨年末死去した金正日氏に対する「尊称」としてのみ使われる。どう解釈すればいいのか。

 正恩氏はまだ二十九歳で公式に登場してから一年半、経験不足は否めない。党内序列は一位だが、重要な決定は合議で決める集団指導制の始まりなのだろうか。

 一方で、昨年末に軍最高司令官になった。国防委員長を継承するとの見方もある。これは軍の活動すべてを統括するという意味だろう。北朝鮮が人工衛星と主張し、十二日にも予想される長距離弾道ミサイルの発射も正恩氏が指導しているという。

 だが経済は破綻し、強硬路線を取る限り、米国や中国、韓国などとの交渉はかなり難しい。経済政策や外交については、正恩氏を筆頭とする党政治局や書記局が事実上、合議で決定して、正恩氏を矢面に立たせまいという狙いかもしれない。

 日本をはじめとする周辺国は、北朝鮮の意思決定過程を詳細に分析する必要がある。誰がどの政策に関わっているか、情報収集能力が今まで以上に問われる。

 正恩氏の権力は金正日氏よりはるかに弱い。父の路線を継承する「遺訓統治」に頼らざるを得ず、柱は軍を中核とする「先軍政治」だ。自らを強い指導者だと内外に誇示するために、ミサイルに続いて三度目の核実験に踏み切る可能性もある。

 慢性的な食糧難。工場の稼働率は三割程度で、日用品の多くを中国からの輸入に頼る。核とミサイルで「ハリネズミ」のように武装して、相手国から譲歩を引き出し体制維持を図るという瀬戸際外交を続けた結果、国際社会からの厳しい経済制裁を受けている。父祖二代が残した負の遺産を背負っての権力世襲である。

 周辺国は正恩氏の統治能力を不安視している。内部で権力闘争が始まり、対外的にいっそう強硬になるとの見方もある。北朝鮮の新体制が暴走せず、国際社会の一員としての役割と責任を果たして改革・開放に進むのが最も望ましい。周辺国は連携して対話と圧力を効果的に使っていきたい。

 

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