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天声人語

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2012年4月10日(火)付

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 付け焼き刃という言葉は、中世の刀鍛冶(かじ)の用語だという。切れの良くない刀に鋼(はがね)の刃を付け足したものを言い、転じて「にわか仕込み」を表すようになった。関西電力大飯原発の再稼働をめぐって、政府がわずか3日で作った安全対策の基準に、その手の批判がやまない▼しかも基準は甘い。再稼働ありきという「靴」に合わせて、足の方を削った印象だ。クリアできるものばかりを並べた、との声もある。週内にも「安全宣言」をするらしいが、さて、信を置けようか▼経産相の枝野さんには、官房長官時代の「ただちに健康に影響はありません」が重なる。発言が迷走するのは、思いと職責のはざまで揺れるゆえとお見受けする。ともあれ、ゴマカシの上塗りはもう御免こうむる▼再稼働は「政治判断で」と言うが、そもそも政治が信に乏しい。関電の筆頭株主である大阪市の異議が強いため、「大阪を広域停電させるしかない」との声も閣内に出たそうだ。ピントのずれた、思い上がった人たちである▼ギリシャ神話で人類に火を与えたプロメテウスには、エピメテウスという弟がいたと、かつて小欄でふれた。思慮を欠く弟が妻に迎えたのが、あのパンドラだった。美貌(びぼう)の妻だが、禍(わざわい)の箱を開けて不幸をまき散らしてしまう▼プロメテウスの名には「先に考える男」という語意がある。片や弟は「後で考える男」の意味だという。原初の火から、いま原子の火の時代。兄弟の物語は、拙速と浅慮への戒めとして、再稼働に重なる。

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