HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 07 Apr 2012 01:21:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 映画やテレビの世界には<セッシュする>という言葉があるら…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 映画やテレビの世界には<セッシュする>という言葉があるらしい。ツーショットなどで、他の俳優と背丈が釣り合うよう身長の低い俳優を台の上に立たせることだという▼二十世紀初頭にハリウッドで活躍した日本人俳優早川雪洲(せっしゅう)は、長身の米国人女優と比べると背が低かったため、撮影ではよくその手が使われた。それが由来だとどこかで読んだ覚えがある▼大相撲の元力士舞の海さんにも、これに通じる話がある。新弟子検査の際、身長の規定に満たなかった。そこで苦肉の策、頭部にシリコーンを注入して何とか通ったのだそうだ▼首相ら関係閣僚が昨日、関電の大飯原発(福井県)3、4号機の再稼働の前提となる暫定安全基準を決定した。だが、重要だが時間のかかる対策は、「再稼働後」に実施する工程表を電力会社が示せばOKという内容なのだからあきれる▼<セッシュ>や<シリコーン>は、長身俳優の背丈や身長規定に届かせようとする涙ぐましい努力だろう。だが政府は、そうした姿勢を電力会社の安全対策に求めるのではなく、逆に、基準の方を下げてしまった印象が強い▼背丈といえば、ギリシャ神話に、捕まえた旅人の体を寝台の大きさに合わせて切ったり伸ばしたりする強盗プロクルステスが登場する。政府も似たり。「まず再稼働」という“寝台”に合わせ安全基準の“身体”を切るとは。

 

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