HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 03 Apr 2012 21:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:スー・チーさん 和解と対話を広げたい:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

スー・チーさん 和解と対話を広げたい

 ミャンマー議会補欠選挙で、スー・チーさんが率いる民主化勢力が大勝の勢いだ。自由で公正な選挙が実施されたとすれば、現政権が進める民主化の動きが、本物と評価される大きな一歩となる。

 国民民主連盟(NLD)は独自集計の結果として、党首のアウン・サン・スー・チーさんの当選を発表した。十五年間も自宅軟禁されたスー・チーさんは初の国政入りを果たす。NLDは圧勝したとしており、スー・チーさんは人々の支援をたたえ「勝利宣言」した。

 補選の議席数は上下両院の7%に満たず、NLDが圧勝しても事実上の軍部支配は変わらない。だが、NLDは軍政下の二〇一〇年総選挙はボイコットした。補選で民主化勢力に政治参加の道が開かれたことは、昨年春に民政移管した現政権の対話路線が、新たな段階に入ったものと評価できる。

 現政権は、初めて外国の選挙監視団や取材陣を受け入れた。選挙人名簿や選挙立会人も整備されていたという。国際社会は選挙が自由で公正に実施されたかどうか慎重に判断するだろうが、補選が援助や投資などの経済制裁緩和に弾みとなるのは間違いない。

 補選実現の背景には、テイン・セイン大統領とスー・チーさんの思惑が一致した面もあろう。重点の置きどころは違うだろうが、民主化が進展すれば、国際社会の信頼が高まり、投資を呼び込めるとの考えでは共通点も多いだろう。

 ミャンマーはすでに、投資法の改正や二重為替の廃止など、外国からの投資に有利な環境の整備に乗り出している。自由と公正の確保こそが、繁栄の基礎となることは言うまでもない。

 民主化が本物かどうかは、二〇一五年の総選挙で試されることになる。だが、補選ではスー・チーさんの写真が新聞の一面を飾り、彼女自身が遊説で体調を崩すほど各地を飛び回れる自由な空気が広がった。スー・チーさんの国政参加を弾みに、本当の国民和解に向けた対話路線を続けてほしい。

 問題も残る。ミャンマー政府は北部カチン州などで少数民族組織と戦闘を続ける。欧米の制裁解除に向け解決すべき課題だ。

 日本は一九五四年に当時のビルマと国交を結び、歴史的な交流も深い。軍政時代もアジアの一員として人道支援を続けてきた。今月下旬に、テイン・セイン大統領が訪日する予定だ。インフラ整備のため円借款の凍結解除を前向きに進め、力強く後押ししたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo