HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 03 Apr 2012 20:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:食品の安全 多彩な監視網生かそう:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

食品の安全 多彩な監視網生かそう

 四月から食品にふくまれる放射性セシウムの新基準値が適用された。自治体はより厳しい検査に取り組むが、生産者、消費者も独自に監視する動きも広がっている。多彩な監視で網の目を詰めよう。

 新基準値は、これまでの四分の一以下に厳しくなった。特に飲料水は二十分の一にした。

 基準を厳しくするのと同時に重要なのは、どうやって検査を確実に実施していくかだ。

 政府はそのための検査方針を示した。東日本の十七都県に検査を義務付けた。過去の食品の出荷停止状況で都県を二組に分け、それぞれ市町村単位のサンプル数も決め検査にばらつきが出ないようにルール化した。

 一般食品の新基準値は一キログラム当たり一〇〇ベクレルだが、念を入れて過去の検査で五〇ベクレルを超えた食品を重点的に調べる。検査頻度も食品ごとにきめ細かく定めた。

 海産物は岩手、宮城、福島、茨城、千葉の五県で、ヤマメなど内水面魚種は十七都県で行う。魚類は食物連鎖で体内に放射性物質が蓄積されることが懸念される。過去に検出されていない魚種も監視を緩めない注意が要る。

 検査態勢を整えるには、検査機器や人手の充実が欠かせない。対応しきれない自治体への支援も政府の責務だ。

 福島県産のコメは水田の地形などが影響して、地域で汚染状況が異なった。季節ごとに多品種が大量に出荷される野菜と違い、収穫が年一回のコメは検査しやすい。風評被害を防ぐためにも全袋検査を実施してほしい。

 新基準値による検査も従来通りサンプル検査である。検査をすり抜ける懸念は絶えずある。

 生産者、流通・小売業者、教育現場、消費者団体も独自検査を始めている。検査機関などに食品を持ち込む市民もいる。

 監視を多重にすることで、その網の目を細かくできる。検査手法や対象範囲などで自治体と民間がどう連携できるか検討が必要だ。

 検査の強化と併せて、結果の正確で迅速な情報提供も大切だ。

 政府は従来の暫定規制値も安全だと説明している。だが、新基準値だとこれまで「安全」だった食品が出荷制限を受け、混乱が起きかねない。

 多くの市民はだからこそ、安全を直接確かめたいと思っている。政府は新基準値で健康をどう守ることができるのか、検査態勢の内容や情報開示と併せ、粘り強く説明する責任がある。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo