HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49000 Content-Type: text/html ETag: "5e4915-1423-4bcb4991adecc" Expires: Tue, 03 Apr 2012 01:22:21 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 03 Apr 2012 01:22:21 GMT Connection: close 4月3日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

4月3日付 編集手帳

 世の中には「運」を消費する人がいる。自分では使わずに、貯金する人もいる。作家の故・色川武(いろかわたけ)(ひろ)さんが随筆集『いずれ我が身も』(中公文庫)に書いている◆つまずきも、災難も、運の貯金だと色川さんは言う。親から子に、子から孫に「運」の口座が引き継がれていくうちに、やがて貯金をおろして使う果報者の末裔(まつえい)が現れる。〈わりに合わないけれども、我々は三代か五代後の子孫のためにこつこつと運を()めこむことになる…〉と◆六つの数字を組み合わせる米国の宝くじで、日本円にして531億円を3人で山分けする大当たりが出たという。絵に描いたような運の消費組だろう◆先月のグリーンジャンボのはずれくじが、未練たらしく机の引き出しにしまってある。あぶく銭に運を消費せず、子孫が健康と心の平安に恵まれる未来の運を貯金できたとすれば、紙くずの顔も立とう。宝くじには、はずれる幸せもあるに違いない◆…とはいうものの、である。まあ、一生に一度ぐらいは、「ごめん。お父さんは使っちゃったぞ、運を。息子よ、許せ」と、踊りながら()びてみたい気持ちもないではないが。

2012年4月3日01時22分  読売新聞)

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です