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関西電力の6月の株主総会で、筆頭株主の大阪市が全原発の「可及的速やかな廃止」を定款に盛り込むよう、株主提案をする。有識者らでつくる市と大阪府のエネルギー戦略会議がまとめ[記事全文]
ミャンマー議会の補欠選挙で、アウンサンスーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝を宣言した。投開票された45選挙区のほとんどで議席を得たという。ただ、改選数は国会の[記事全文]
関西電力の6月の株主総会で、筆頭株主の大阪市が全原発の「可及的速やかな廃止」を定款に盛り込むよう、株主提案をする。
有識者らでつくる市と大阪府のエネルギー戦略会議がまとめた。送配電部門の別会社化、政治家や原発規制に関わる研究者への寄付禁止なども求める。
東京電力福島第一原発の事故以降、電力会社は地域独占や情報開示のあり方をめぐって様々な問題が指摘されてきた。電気を使う側の視点で自治体が具体的な案を示す意味は大きい。脱原発への一つの道としても意義がある。
大阪市がもつ関電株は8.9%。定款の変更には3分の2以上の賛同が必要で、同調を求めている京都、神戸両市分をあわせても約12%と、可決へのハードルは高い。
過去にも市民グループなどから脱原発の株主提案が出されてきたが、突っ込んだ検討がされないまま否決されてきた。
だが、もはや、そうした姿勢は許されない。公開の場での議論を望む株主も多いだろう。
提案は、原発の再稼働問題にも直結する。
関電は原発ゼロで夏を迎えると、供給力が13.9%足りないとする。市側はピーク時の値段を上げたりする変動料金制の導入など、需要抑制の具体策も示す方針だ。関電は「再稼働が必要」というばかりでなく、明確な根拠を示すべきだ。
関電の株主は、金融機関と個人投資家がそれぞれ3割程度を占める。
株主として短期的な利益を追求すれば、原発を止めることによる当面のコスト増には抵抗があろう。しかし、いったん事故が起きると、会社の存続を危うくする原発に経済合理性があると考えるか否か――。
橋下徹市長は広報を通じ他の株主に訴えることも検討している。長い目でみて何が企業の利益になるか、株主の判断が問われる。
自治体と電力会社との関係は戦前にさかのぼる。大阪市の場合、電力需要に対応するため1923(大正12)年に大阪電灯会社を買収、市電気局として電気事業を直営化した。戦後に民営化され、今日にいたる。
東京電力の大株主である東京都など、電力会社の株式を持つ自治体はほかにもある。
地域のエネルギー供給の安定と安全性の確保に、行政が関与していくのは当然だ。市民利益の代弁者として、原発やエネルギーのあり方に積極的に発言していってほしい。
ミャンマー議会の補欠選挙で、アウンサンスーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝を宣言した。投開票された45選挙区のほとんどで議席を得たという。
ただ、改選数は国会の全議席の1割に及ばない。このため、軍の関係者が政権や議会で絶対多数を占める政治状況がすぐに変わるわけではない。
一部では選挙が延期になったし、不正の報告もあった。
それでも、NLDが参加しなかった2年前の不透明な総選挙に比べ、各国監視団や報道陣の見守るなかで実施された補選の意義は大きい。
民主化の歯車がひとつ回ったと評価できる。
「民政移管」から1年余り。テインセイン大統領がスーチーさんと面談し、一連の改革を始めてから、まだ数カ月だ。国民は新政権の実績より、軍事政権時代への反発を投票で示したとみるべきだろう。
この厳しい民意を、政権は正面から受けとめるべきだ。敵視し、強権体質に戻ることなどあってはならない。
こうした危惧を抱くのは、90年の総選挙で、NLDが大勝したにもかかわらず、軍政が政権を明け渡さず、独裁体制を敷いた歴史があるからだ。
いまこそ政権は、全議席を争う3年後の総選挙を民主化の総仕上げとすることを確認すべきだ。そのうえで、民主化をさらに進める。経済改革に着手し、その果実を国民と分かち合う。それで国民の信頼を得て、選挙での勝利をめざしたらいい。
少数民族との和解や、残る政治犯の釈放はその前提だ。
軍政時代に抵抗のシンボルだったスーチーさんたちは今後、野党として体制内で変革をめざすことになる。これまでと違い、具体的な成果を求められる立場になり、責任も重くなる。
民主化を阻む最大の壁は、軍政が制定した憲法だ。議員の4分の1を軍人と定め、改正を阻止できる仕組みにしてある。こんな軍の絶対優位を保障した憲法を改めて初めて、国際社会から民主国家と認められる。
改正を求めてきたNLDが国会で、政権にどんな議論を挑むのかに注目する。
補選を受けて、欧米諸国は経済制裁解除の検討を本格化させるだろう。
日本政府も近く来日するテインセイン大統領に、円借款の再開を表明する見通しだ。
だが、経済支援が民主化に寄与し、国民の生活向上に結びついているかどうか。各国とも点検しつつ進めることが肝心だ。