HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50916 Content-Type: text/html ETag: "a70ab-1763-4bca0ca7b72eb" Expires: Sun, 01 Apr 2012 21:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 01 Apr 2012 21:21:10 GMT Connection: close 改ざん隠蔽事件 検察組織の病弊断罪した判決 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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改ざん隠蔽事件 検察組織の病弊断罪した判決(4月2日付・読売社説)

 大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽事件で、大阪地裁は元部長ら2人に有罪を言い渡した。

 判決は、「組織の病弊というべき当時の特捜部の体質が生み出した犯行」と厳しく指弾した。まさに検察組織を断罪した司法判断だ。

 この事件では、検察の活動全般に対する国民の信頼が損なわれた。検察は重く受け止めて、組織改革を進めなければならない。

 元特捜部長と元副部長は、裁判で、郵便不正事件の元主任検事(証拠隠滅罪で実刑)が証拠を改ざんしたことを「過失だと思っていた」と、無罪を主張した。

 だが、判決は、元部長らは改ざんが発覚すれば検察組織の信頼が失墜すると恐れて、保身のため、もみ消しを図ったと認定した。

 不祥事というウミを出し切る勇気さえ持てば、部下の犯罪を正す捜査も容易だったはずだ、とも指摘している。

 事件の背景にあるのは、威信や組織防衛を過度に重視する大阪地検特捜部の風潮である。判決は、「中央省庁の局長を逮捕した以上、有罪を得なければならないという偏った考え方が根付いていた」との見解を示している。

 こうした組織体質こそが、無実の厚生労働省元局長、村木厚子さんを無理やり有罪にしようという異常な捜査を生んだのだろう。

 地検の検事正らは、元部長から証拠のデータが元主任検事のミスで改変されたとの報告をうのみにし、調査を指示しなかった。

 判決が「検察内部の監視態勢にも不備があった」と断定していることを、検察は重視すべきだ。

 事件を受け、最高検は昨年、自己の名誉や評価を目的とした行動を強く戒める「検察倫理規定」を策定した。

 職務の不正行為に関する情報提供を内外から受け付けて調査する監察指導部も設置した。部下が上司の指導力などを評価する仕組みも導入する。

 検察がこうした取り組みを迫られるのは何とも情けない話だが、新制度を有効に機能させて、組織内の不正根絶を徹底して図らなければならない。

 上司の指示に問題があれば、部下が反論できるような風通しの良い組織風土を早急に作り上げていくことが求められよう。

 今回の判決を機に、検事一人ひとりが公益代表者として、法と証拠に基づき、事件の真相解明に力を尽くすという原点に立ち返る必要がある。国民の信頼を回復するには、それしかない。

2012年4月2日01時42分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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