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今日を境に、季節は別れから出会いに移る。割れ始めた木々の芽が百花新緑の日を予感させる3月の言葉から▼宮城県南三陸町の戸倉中学。津波で壊れた旧校舎で卒業式が開かれた。答辞で小野寺翔(しょう)君は「今日という日は、もっと生きたかった人の今日でもある。亡くなった先生や後輩の分まで僕らは生きたい」▼終戦の年の3月10日、東京大空襲があった。東京大空襲・戦災資料センター館長で作家の早乙女勝元さん(80)が本紙声欄に寄せた。「東北の春はまだまだ遠く、大空襲後の惨状と重なる。3月10、11日は命の重みを考え、心に刻む日とすべきではないか」。忘れてはならない日だ▼福岡の元高校教師、瀬口俊光さん(71)は「大ぼら先生」と慕われる。陸上部を率い、「日本一になれる」「世界をめざせる」とほめ、その気にさせて力を引き出してきた。上梓(じょうし)した本で「子どもたちが大きな夢も持てない背伸びもしない、ほら一つ吹けないでは、日本の未来は淋(さび)しい」▼春場所の前相撲でアフリカ大陸初の力士がデビューした。20歳のエジプト人のしこ名は大砂嵐(おおすなあらし)。「アラブを、アフリカを背負う力士になりたい」の夢がいい▼この春中学生になる宮城県石巻市の奥田駿斗(はやと)君が言う。「コンサルタントって言うんだっけ。街づくりをする人のこと。最近、そういう仕事があると知って、今はそれになりたい。石巻を元に戻したいんだ」▼朝日俳壇に〈三月の瓦礫(がれき)の上に三月来(く)〉井上正和。元に戻すための道を、ともに歩みたい。