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3月30日付 編集手帳

 童謡『サッちゃん』の作詞者でもある阪田寛夫さんに『さよなら』という詩がある。〈少女歌劇という言葉が生きていた頃/女学生は手紙の最後を小夜奈良(さよなら)と結んだ〉(河出書房新社『(がん)(しゅう)詩集』より)◆「小夜」は小夜福子。「奈良」は奈良美也子。どちらも大正時代に宝塚音楽歌劇学校(いまの宝塚音楽学校)に入って、タカラジェンヌとなった人である◆「小夜奈良」の昔から少女の胸をあこがれの火で焦がしつづけて、宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)の入学者は今年が100期生だという。競争率23倍の難関をくぐり抜けたタカラジェンヌの卵40人の合格発表風景をテレビで見た◆3月は“別れの季節”といわれる。国文学者の折口信夫が卒業する教え子に贈った歌がある。〈桜の花ちりぢりにしもわかれ行く遠きひとりと君もなりなむ〉。その通りとしても、「さよなら」のあとには心躍る「はじめまして」が待っていることを乙女たちの笑顔が教えている◆別れの3月も、あすで終わる。進学で、就職で、親しんだ友や住み慣れた街に「さよなら」を告げた人もあろう。どこかの〈遠きひとり〉に幸あれ。

2012年3月30日01時47分  読売新聞)

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