HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 26 Mar 2012 22:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:厚生年金基金 早く損失の拡大を防げ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

厚生年金基金 早く損失の拡大を防げ

 AIJ投資顧問の年金資産消失問題は、厚生年金基金の制度上の課題を明らかにした。このままでは公的な厚生年金まで被害が拡大しかねない。損失をこれ以上広げぬ対策が求められている。

 厚生年金基金の問題を放置すれば、基金とは関係なく公的な厚生年金に加入するサラリーマンに被害が及ぶ懸念がある。

 基金は、企業が独自に従業員から保険料を集め運用する企業年金の一つだ。支給される年金は、公的な厚生年金に上乗せされる。

 それとは別に基金の加入者は本来、国に納める厚生年金保険料の一部を基金に払っている。基金が国に代わって厚生年金の一部も運用、支給する代行部分だ。

 AIJに運用を任せた基金の多くは、運用能力に不安を抱える中小企業でつくる企業年金である。

 利回りが高い時代は、代行部分も含め運用で利益を出し年金として支給できた。バブル後に利回りが下がると運用が追いつかず、年金として支給に必要な額より積立金が下回る事態になった。

 問題は、代行部分も積み立て不足になった場合だ。代行部分の年金支払いは義務付けられている。代行部分をやめるにしても、不足分は国に返さなくてはならない。

 基金に返済できなければ母体企業が穴埋めの責任を負うが、中小企業が多く経営体力がない。不足分を補填(ほてん)しようとすれば倒産しかねない。

 AIJに運用を任せていた七十四基金のうち、代行部分の積み立て不足は既に三十一基金ある。不足額は約一千億円だ。

 全国の五百七十八基金ではAIJの損失を含め二百十二基金、不足額は計約六千億円を超える。

 このまま放置すれば穴埋めに、公的な厚生年金の積立金から補填したり、公費(税)の投入といった救済を求められかねない。

 基金側は「制度に無理がある。国の不作為だ」と公的資金による救済を言いだした。

 基金は高利回り時代に利益を得てきた。公的支援を求められてもとても理解は得られまい。

 まず基金には加入者の保険料を上げる。将来受け取る年金や既に受給者が受け取っている年金を減らすなどの自助努力が必要だ。

 この問題を放置してきた厚生労働省の責任も重い。AIJの事件では基金に天下ったOB多数が被害を拡大させたとみられ、二重に責任がある。被害を拡大させない“止血”策を早く実施すべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo