HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50771 Content-Type: text/html ETag: "ffd9a-177f-4bc13af50a936" Expires: Mon, 26 Mar 2012 00:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 26 Mar 2012 00:21:10 GMT Connection: close 国家公務員採用 極端な抑制では禍根が残る : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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国家公務員採用 極端な抑制では禍根が残る(3月26日付・読売社説)

 政府は「身を切る改革の一環」というが、手法が安易ではないか。

 将来に禍根を残すことになりかねない。

 2013年度の国家公務員新規採用を大幅に抑制する方針のことである。

 採用抑制は、消費税率引き上げを柱とした社会保障・税一体改革に国民の理解を得るためとして、岡田副総理が主導し、各府省で最終調整の段階だ。5〜7割の大幅な削減が想定されている。

 民主党政権は、新規採用を自公政権の09年度と比べて、11年度に37%、12年度に26%、それぞれ削減した。民主党の政権公約(マニフェスト)に明記した「国家公務員総人件費2割削減」が、こうした流れを作ってきた。

 しかし、新規採用の抑制による財政効果はそれほど大きくない。仮に採用を7割削減しても、公約達成に必要な額にはほど遠い。

 そもそも「2割」という数字自体、民主党内で十分な検討を踏まえて決めたものではない。根拠に乏しい目標に、つじつまを合わせようと新規採用を抑制するのは、本末転倒と言えよう。

 野田首相は、「国家公務員試験を目指して日夜頑張っている若い人たちには恐縮だ」と述べたが、極端な採用抑制は、就職難に苦しむ若者たちに厳しすぎる。

 優秀な人材が、ますます国家公務員を敬遠することになるのではないか、心配だ。

 新規採用の削減が、とくに影響するのは刑務官や入国警備官、海上保安官など現場の職員である。「日常業務に支障が出る」との各府省の反発は理解できる。治安を揺るがすことにもならないか。

 採用を減らすのなら、各府省の業務ごとに要不要を精査しつつ、長期的な展望に基づくべきだ。場当たり的であってはならない。

 むしろ優先すべきは、国の出先機関の廃止や、事務の地方移管を追求することである。

 人事院によると、国家公務員が退職後に受け取る年金などの給付額は、民間企業のサラリーマンより約400万円多い。こうした観点から、人件費を見直すことも欠かせない。

 政府は国家公務員を定年後、再任用で65歳まで雇用する方針だ。組織を活性化していくために、岡田副総理は「年齢構成の適正化の重要性」を指摘し、希望退職制度の導入や自発的な再就職の支援策を検討する考えを示している。

 新規採用の大幅抑制より、全体のバランスを考慮した上でのスリム化を目指すべきだろう。

2012年3月26日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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