HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 26 Mar 2012 01:21:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:混迷アフガン 米軍部隊の管理強めよ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

混迷アフガン 米軍部隊の管理強めよ

 アフガニスタンで反米感情が急速に高まっている。テロ組織解体と国の安定を目指す両国の協力は危機に瀕(ひん)する。米国はアフガン国民の信頼を取り戻すため、派遣部隊の管理を徹底する必要がある。

 アフガン南部カンダハル州で一人の米軍兵士が三軒の民家に押し入って銃を乱射し、子ども九人を含む民間人十七人を殺害した。

 この兵士はイラクで三回勤務をし、昨年末にアフガンに赴任した。弁護人によると、長い戦地勤務で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えていたというが、米当局は徹底した調査をし容疑者の厳正な処罰をすべきだ。

 アフガンには約十三万人の国際治安支援部隊(ISAF)が駐屯し、うち米軍が約九万人を占める。国連によると、昨年だけで民間人約三千人が戦闘に巻き込まれて死亡した。

 米兵がイスラム教の聖典コーランを焼却する事件も起きた。これらの行為が根強い反米感情を生み出す。米軍とISAFは兵士に対して、民間人の犠牲者を出さず宗教の尊厳を守るよう、管理と教育を徹底すべきだろう。

 米軍はアフガン安定化に影響力を持つパキスタンとの関係も、同国の検問所に対する誤爆事件によって悪化させている。

 オバマ政権は駐留米軍を段階的に撤収させ、二〇一四年末までにアフガン政府軍と警察に治安権限を移譲する計画だ。米軍とISAFはアフガン兵士の訓練をしているが、大半は農民出身の素人であり、反政府武装勢力タリバンを米欧軍抜きで押さえ込むのは困難とみられる。

 タリバン統治下の時代と比べ、首都カブールなど都市部では経済活動が活発化し、就学率が向上して女性の社会進出が広がるなど、国造りが軌道に乗り始めた部分もある。

 いま米欧軍が大規模に撤退すれば、再び内戦になる危険性が極めて高い。アフガンが再び国際テロの温床に逆戻りしないために、米欧軍の早期撤退には慎重さが求められる。米国はカルザイ政権との協力関係を再構築し、国際部隊の撤退が本格化する前に、タリバンとの対話を再開して停戦への道筋をつけねばならない。

 日本政府はこれまで米国に次ぐ三十億ドル余をアフガンに投じて、警察官の給与や道路整備、学校建設を援助してきた。七月には支援国際会議を主催する。再建に向けた側面支援を果たしたい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo