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2012年3月26日(月)付

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食品と放射能―検査充実と情報提供を

食品中の放射性物質に関する新基準が4月から適用されるのに伴い、いよいよ新基準に基づく検査が始まる。東京電力福島第一原発事故以来使われてきた暫定基準から4〜20倍に強化さ[記事全文]

刑事司法改革―信頼回復の遠い道のり

新しい時代の捜査や公判のあり方を検討している法制審議会の特別部会が、具体案を詰めるための論点をまとめた。まだ柱だての段階で、どう肉づけされるかはこれからの議論によるが、[記事全文]

食品と放射能―検査充実と情報提供を

 食品中の放射性物質に関する新基準が4月から適用されるのに伴い、いよいよ新基準に基づく検査が始まる。

 東京電力福島第一原発事故以来使われてきた暫定基準から4〜20倍に強化され、世界的にみても大変厳しい基準になる。

 その分、これまでよりはるかに精密な検査が必要になるが、厚生労働省は今月半ばに指針を定めたばかりで、各自治体では準備に追われている。

 混乱も心配される。新基準が消費者の安心につながるよう政府が果たすべき責任は大きい。

 まず大切なのは、いうまでもなく、検査態勢の整備だ。

 新基準では、食品1キログラム当たりの放射性セシウムは、一般的な食品では従来の500ベクレルから100ベクレルに、牛乳や乳製品は200ベクレルから50ベクレルに、飲料水は200ベクレルから10ベクレルになる。

 厚労省の検査指針は、50ベクレルを超えた例のある食品を重点にするとし、検査の頻度なども細かく指定した。網の目を細かくして汚染を見つけるねらいだ。

 問題は、高精度の検査をするには時間と手間がかかり、そのぶん検査できる点数が減ってしまうことだ。基準を超える食品のすり抜けが心配されている。

 各自治体は、検査機器や職員を増やしたり、外部に委託したりするというが、対応しきれないところも出てくるだろう。

 必要な検査装置や、人員を確保する支援は政府の役割だ。

 都道府県を越えて、検査を分担したり、検査装置を融通し合ったり、といった調整も進めなくてはならない。

 検査の仕組みの点検とともに実態も調べ、見直しを進める必要もある。

 検査される食品の半分以上を牛肉が占めるという現状は、食品全体の汚染状況から見てどうか。検討すべきだろう。

 一方、新基準によって、健康へのリスクがどうなるのか。新基準の意味や検査態勢もふくめて、消費者にわかりやすく説明することもとても重要だ。

 規制の目的は、食品を通じての内部被曝(ひばく)を減らすことだ。毎日の食事から実際にどれだけ内部被曝することになるのか、具体的なデータがあれば、リスクを考えるのに役立つ。

 福島県などで実際の食事を調べた結果によれば、現状でも、1年間の被曝量1ミリシーベルト以下という新基準がめざす目標よりはるかに低い。

 厚労省は、こうした調査結果を公開して、消費者の理解を求める必要がある。ていねいな情報提供もふくめて総合的に取り組んでこそ安心につながる。

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刑事司法改革―信頼回復の遠い道のり

 新しい時代の捜査や公判のあり方を検討している法制審議会の特別部会が、具体案を詰めるための論点をまとめた。

 まだ柱だての段階で、どう肉づけされるかはこれからの議論によるが、まずは過不足のない項目が並んだといえる。

 3年前に裁判員制度の導入という大きな変革があった。だが基本的なところは、つくられて何十年もたつ法律が規定し、運用や工夫で何とか対応しているのが刑事司法の実態だ。

 いきおい無理が生じ、いきすぎた捜査が行われたり、逆に組織的な犯罪の核心に迫れず人々の不安を招いたりしている。

 そんな状況を変えていく契機にしなければならない。

 論点整理には、取り調べ過程の録音・録画が盛り込まれた。くり返すまでもなく、捜査が適正かを外部からチェックするうえで、その実施はもはや避けてとおれない課題である。

 一方で、供述に過度に頼ることなく、捜査や裁判を適切に進めるためにどんな手立てを講じたらいいか、という観点からの意見交換も進んでいる。

 部会では、▽通信傍受やおとり捜査を認める範囲をひろげる▽容疑者が捜査や公判でうそをついた場合に処罰できるようにする▽罪に問わないことを条件に、捜査への協力を求めるしくみを導入する――などに加え、故意や目的といった主観的な要素を重くみる刑法の規定を見直すことも提案されている。

 委員の立場や理念はちがい、意見もさまざまだが、安心して暮らせる、より良い社会を築くという原点に立って、ねばり強く合意点を探ってほしい。

 新しい捜査手法を考える際に前提となるのは、その権限を使う当局への信頼である。

 例えば、有罪が確定した人や容疑者のDNA型データベースを拡充する必要性がいわれている。自白がなくても犯人や余罪に迫ることができ、前向きに検討すべき方策ではある。

 だが、最近明らかになった大阪府警による証拠の紛失や捏造(ねつぞう)など、相次ぐずさんな扱いを見ると、不安を覚える人も少なくないだろう。通信傍受法が制定されたときの反発や疑念も、その前に発覚した警察による盗聴行為と不透明な事後処理への不信が大きな原因だった。

 捜査員一人ひとりが自覚をもって仕事に向きあい、国民から支持される存在でなければ、法制審で成案を得ても実現までの道のりは険しいものとなろう。

 警察、検察など捜査機関の幹部は、心して組織の統率と運営にあたらなければならない。

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