HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 25 Mar 2012 03:22:21 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: <夜になってスイッチを入れると、電球はコウコウと光を放っ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 <夜になってスイッチを入れると、電球はコウコウと光を放った。「ああ、美しか! …目がさめる−」と、皆が口々にいった>。長崎への原爆投下後、突貫工事で建った家に明かりがともった▼四十ワットの電球が闇を照らした時、子ども心にわき上がったのは「電気はじつにありがたいなあ」という素朴な感情だ(永井隆編『原子雲の下に生きて』)。戦争で疲弊した人々に、明かりは希望そのものだった▼戦後の復興を支えるために、水力発電用の巨大ダムが各地につくられる。火力発電所、原子力発電所も次々と建った。都市は不夜城のように照らされるようになった▼過疎地の振興と引き換えに建った原発の電気は余り、ありがたいという気持ちはうせた。都会の便利な生活が、地方の犠牲の上にあることに気付かなかった。福島第一原発の事故が起きるまでは▼再稼働の行方が注目されている関西電力大飯原発のストレステスト一次評価で、原子力安全委員会の下した判断は「条件付きイエス」。ただし今後の安全対策への注文は二十七項目に上り、再稼働への“お墨付き”にはほど遠い▼関電の筆頭株主である大阪市は株主総会で全原発の廃止を含む株主提案をする方針だ。事故の原因究明もおぼつかず、地元の定義もあいまいなまま、政府が「再稼働ありき」で拙速に動くなら、国民への重大な裏切り行為になる。

 

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