HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 27914 Content-Type: text/html ETag: "13321dd-4d5f-6f874300" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sun, 25 Mar 2012 02:21:06 GMT Date: Sun, 25 Mar 2012 02:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

朝日新聞社説のバックナンバー

 社説のバックナンバーは、下記の有料サービスでお読みいただけます。

2012年3月25日(日)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

核テロ防止―原発事故も教訓に

地上から核戦争の危機が消えたわけではない。ただ、テロ集団による核使用こそが、より現実味のある脅威ではないかとの心配が、「9・11」後の国際社会で強まった。そこで2年前、[記事全文]

郵政見直し―真の改革へ再起動を

国会で長くたなざらしになっていた郵政民営化の見直し問題に、一応の決着がつく。自民と公明両党が合意し、与党も同調する見通しだ。最大の焦点は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の[記事全文]

核テロ防止―原発事故も教訓に

 地上から核戦争の危機が消えたわけではない。ただ、テロ集団による核使用こそが、より現実味のある脅威ではないかとの心配が、「9・11」後の国際社会で強まった。

 そこで2年前、オバマ米大統領の呼びかけで、核テロ防止をめざす第1回核保安サミットが開かれた。2回目が26、27の両日、ソウルで開催される。

 野田首相も出席予定だ。オバマ米大統領や約50カ国の首脳・閣僚たちと、実効性のある手立てを真剣に考えてもらいたい。

 盗難、密売でテロ集団の手に渡った核兵器の爆発が、最も危険な核テロである。原子力施設や放射性物質の輸送車両・船舶を襲って汚染をまき散らすことや、放射性物質を混ぜた爆弾で広範囲に恐怖を巻き起こすテロも、防がなければならない。

 第1回サミットでは、核兵器や核物質、原子力施設などの保安について国家が責任をもって対応すること、盗難防止や密輸防止対策で途上国を支援することなどが確認された。

 だが現実には、やるべきことがたくさん残っている。

 テロ集団と核の関係を遮断するにはまず、「核の闇市場」の監視・摘発をさらに強化することが重要だ。

 8年前に、パキスタンのカーン博士を中心とする闇市場が発覚した。その後の国際原子力機関(IAEA)などの調査で、北朝鮮がウラン濃縮技術などを闇市場から得ていた疑いが強まった。イランも闇市場とつながって、ウラン濃縮計画などを進めてきた疑いがある。

 核兵器の材料となる高濃縮ウランをつくれる技術や物資の密売が横行する世界は、危険極まりない。国際的な闇ルートの解明や密売組織の追及など、国際社会が協力すべきことは多い。

 福島の原発事故は、津波などですべての電源が失われて深刻化した。テロ集団が破壊工作で電源をすべて断てば、大惨事に至る恐れがある。使用済み核燃料を貯蔵するプールのある建物が倒壊すれば、大規模な放射能放出の危険があることも浮き彫りになった。

 ソウルに集まる首脳は、原子力施設の事故防止という安全対策と、核テロ防止という保安対策をあわせて改善、強化する政治的決意を表明すべきだ。

 事故もテロも「想定外」としないで万全の策を練ることが、福島からの大きな教訓だろう。

 日本で原発利用が継続しようがしまいが、放射能の怖さを改めて知った日本は、世界に率先して安全と保安を進める覚悟を表明し、実行すべきだ。

検索フォーム

郵政見直し―真の改革へ再起動を

 国会で長くたなざらしになっていた郵政民営化の見直し問題に、一応の決着がつく。自民と公明両党が合意し、与党も同調する見通しだ。

 最大の焦点は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式売却だった。両社は、政府が将来も3分の1超の株式を持ち続ける日本郵政の子会社だ。

 民営化法では2017年9月末までに全株を売却し、政府との間接的な資本関係を絶って、民間と公平に競争することにしていた。

 今回の合意では、売却の期限を設けず、「すべてを処分することを目指す」とし、経営判断に委ねることにした。日本郵政が金融2社の株式の3分の1は維持することを求めていた与党案との折衷である。

 郵貯・簡保の完全民営化が後退したのは間違いない。ただ、09年末に成立した株式売却凍結法で経営が縛られ、袋小路にあった郵政改革が再起動するのなら、現状よりはましだ。

 経営陣の責任で株式売却の工程表を作り、お目付け役の郵政民営化委員会が厳しく監視し、民間との競争の実態に合わせて不断に見直していくプロセスを作っていくべきだろう。

 郵便物を扱う郵便事業会社と窓口業務を担う郵便局会社は合併する。日本郵政本体や金融2社の株式上場の目標をテコに、郵便事業の立て直しや郵便局経営の効率化を進め、金融の収益に過度に依存しない経営構造を築く。国債に偏った資金運用が安泰とはいえなくなった今、喫緊の課題である。

 合意には金融の全国一律サービスも盛り込まれたが、過剰な義務づけは避けるべきだ。旧特定郵便局を存続させる名目となり、高コスト体質が温存されては本末転倒である。

 株式の売却を考えれば、元官僚が居並ぶ今の経営陣で市場の評価を得るのは難しい。引き受け手探しは大変でも、民営化の理念を体現できる民間経営者をぜひ起用してほしい。

 今回の合意の背景には、震災復興のための増税額を日本郵政株の売却益で圧縮することをアピールする狙いとともに、総選挙をにらんで、「郵政票」の囲い込みという政治的思惑が透けてみえる。旧特定郵便局長らの政治力が増すようなら、今後に禍根を残す。

 民営化委の田中直毅委員長は郵政グループの経営に関する意見書を野田首相に提出した際の記者会見で、「政治による介入」と「政治への介入」に懸念を示した。重い警告と受け止めなければならない。

検索フォーム