HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 24 Mar 2012 03:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ストーカー事件 警察はもう瀬戸際だ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ストーカー事件 警察はもう瀬戸際だ

 警察は自らの使命を見失ったのか。そんな根源的な疑問を抱いてしまう千葉県警の不祥事だ。ストーカー事件の捜査を先送りして慰安旅行に興じていたとは強い憤りを覚える。信用は地に落ちた。

 長崎県西海市で昨年十二月、千葉県内でストーカー被害に遭っていた女性の家族二人が命を奪われた事件でのことだった。

 女性は千葉県警習志野署に暴力の被害届を出そうとしたのに、担当者らは「一週間待ってほしい」と多忙を理由にして受理を先延ばしにした。

 ところが、二日後には、警察署の責任者の生活安全課長ら十人余りが北海道旅行に出掛けていたという。必死の訴えに鈍すぎる。

 家族はその十日後に殺害された。すぐに動いていれば救えたかもしれない。わらにもすがる思いだったに違いない女性の心中を察すると言葉が見つからない。

 ストーカー被害の対応をたらい回しにしたと指弾され、千葉、長崎、三重の三県警は今月五日に問題点の検証結果を公表し、再発防止を誓った。しかし、今となっては体裁を取り繕っただけではないのかと疑わざるを得ない。

 千葉県警本部の責任者の生活安全部長や刑事部参事官も、事件後ほどなく旅行の事実を知った。だが、事件対応の検証過程では不問に付し、遺族への説明でも、警察庁への報告でも伏せている。

 不手際を組織ぐるみで隠したと見られても仕方があるまい。県警の身内からも緊張感が足りないとの批判が出ている。

 片桐裕警察庁長官は「危機意識の欠如の表れと言われてもやむを得ない」として県警に再調査を指示した。もはや長官自らが陣頭指揮すべき事案だ。それほどまでに信頼は崩れてしまった。

 ストーカー事件は年間一万四千件を上回る。悪質化が進み、交際相手の家族まで狙われる。しかし警察には、ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)といった男女間のトラブルを甘く見る古い体質が残っているようだ。

 一九九九年に埼玉県桶川市であったストーカー殺人事件をはじめかつて重大な不祥事が相次いだときには、有識者らの警察刷新会議が抜本改革を提言した。

 教訓は生かされてきたのか。今度の不祥事を契機に第三者機関をあらためて設け、警察全体を洗い直すよう求める声も上がる。

 旅行は捜査に影響しなかったという言い分も伝えられる。それこそ危機感の欠如そのものだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo