HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 19701 Content-Type: text/html ETag: "9a02ff-478a-bcf9b500" Cache-Control: max-age=4 Expires: Sat, 24 Mar 2012 03:21:15 GMT Date: Sat, 24 Mar 2012 03:21:11 GMT Connection: close
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さて労(ねぎら)いをかけるべきだろうか、こんな一句がある。〈非常口に緑の男いつも逃げ〉田川飛旅子(ひりょし)。見慣れたあのピクトグラム(絵文字)は日本で生まれて国際規格になった。世界のいたるところで、彼(彼女)はきょうも逃げている▼これも「逃げ」に類するニュースだろう。緊急地震速報に接した人のうち、6割が何らかの危険回避の行動をしたことがあると、気象庁の調べでわかった。2817人の回答だが、一方で、したことがない、できなかった、という人も4割にのぼっていた▼したことがない理由の一端には、速報の「打率」もあろう。東日本大震災以降に104回発表したが、うち63回は震度2以下の地域にも流れた。しかし約4割当たればオオカミ少年ではあるまい。身構えて終われば幸い。それよりも油断が怖い▼災害列島のこの国には、1年のどの日にも、大小の自然の爪痕(つめあと)と、人々の涙が刻まれていよう。旧暦のきょうは、江戸の末期に長野で善光寺地震が起きている。街はつぶれてから燃え、何千人もが落命したという▼今も地震活動は活発だ。多くの地震研究者が3・11後を「われわれの知らない日本列島になった」と言う。地下にかかる力のバランスが変わってしまったらしい▼地震予知が絶望視されるなか、地震速報から揺れまでの「数秒」は、最新の技術でやっとひねり出す、なけなしの時間差だ。取るべき行動を決め、反射神経を磨いて、賢く危険から逃げたいものだ。無駄にするのはもったいない。