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2012年3月24日(土)付

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消費増税法案―首相の決断で提出を

消費増税法案の閣議決定が、週明けにずれこんだ。民主党内の事前審査で、反対の声がおさまらないためだ。おかしな話である。法案の元になった「大綱」の中身[記事全文]

官房機密費―透明化への道を示せ

使い道の不明朗さが指摘されてきた内閣官房報償費(官房機密費)について、大阪地裁は市民団体の主張を一部認め、支出額などの情報を開示するよう命じる判決を言い渡した。自民党の[記事全文]

消費増税法案―首相の決断で提出を

 消費増税法案の閣議決定が、週明けにずれこんだ。民主党内の事前審査で、反対の声がおさまらないためだ。

 おかしな話である。

 法案の元になった「大綱」の中身は、昨年末の党内論議で決着したはずではないか。

 この期に及んでの紛糾は、民主党が政策集団というよりも、選挙互助会にすぎない実態を改めて示すものだ。これでも政権与党なのか、とあぜんとする。

 野田首相は3月中に法案を決めると言明してきた。自公政権時代の税制改正法が付則に「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記したのを踏まえた対応である。

 だから首相が月内に法案を提出するのは、法律に沿った当然の行動だ。ずるずると結論を先送りしてはならない。

 財政の健全化と社会保障の安定のため、あえて不人気な政策を旗印に掲げてきた野田政権の真価が問われる局面である。

 党執行部は、党内合意をめざして、景気の動向しだいで増税を停止できる弾力条項と、将来の再増税への道筋を中心に、修正案を重ねて示してきた。

 だが結局のところ、小沢一郎元代表を中心とした反対グループは、現時点で消費増税を決めること自体を受け入れないのだ。法案の文言の手直しで、納得するようには見えない。

 むしろ、法案の採決時に造反する大義名分を得るために、執行部に無理やり押し切られた形をつくりたいのではないか。

 確かに、反対派が主張するように、議員定数削減などの「身を切る改革」や、景気回復に向けた取り組みは不可欠だ。

 この点は、私たちも繰り返し指摘してきた。大型公共事業の先送りも求めてきた。

 しかし、行革などは増税法案と並行して進めるべき施策だと考えている。すべてが実現しなければ増税すべきでないという考え方は、単なる増税先送り論と同じにしか聞こえない。

 首相は「51対49」でも、党内論議をまとめるとの決意を示してきた。反対派説得の前面に立ち、速やかに法案提出という政府の責任を果たすべきだ。

 国民新党にも注文がある。

 大綱決定に対して、「実現しないので黙認」したなどという二枚舌はもはや許されない。

 亀井静香代表は閣議決定に反対する考えを示しているが、党内には異論もあるようだ。

 増税反対を貫くなら、すっぱりと連立を離脱する。そうしないなら、法案成立に与党として責任を持つ。党内論議で、どちらかはっきりさせる時だ。

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官房機密費―透明化への道を示せ

 使い道の不明朗さが指摘されてきた内閣官房報償費(官房機密費)について、大阪地裁は市民団体の主張を一部認め、支出額などの情報を開示するよう命じる判決を言い渡した。

 自民党の長期政権時代、政府は官房機密費について「国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費」として公開を拒んできた。

 しかし官房長官を経験した一部の政治家らは、国家機密とは無縁の支出があったと認めている。海外に出張する政治家への餞別(せんべつ)や与野党議員の背広代、パーティー券購入などだ。

 情報公開請求で明らかにされてきたのは、機密費が請求された月ごとの金額と日付だけだった。支出に関する情報はいっさい公開されてこなかった。

 原告は情報開示を求めて2件の訴訟を起こした。判決はこのうち、小泉政権下の05年10月から1年間に支出された機密費について、出納を記載した書類や会計検査院に提出する明細書などを公開するよう命じた。

 常識にかなった判断である。

 こうした文書類があること自体、裁判で初めて明らかになった。支払先と具体的な使途は特定されない出納書類であり、そもそも非開示にしたことが疑問だった。

 係争中のもう一件は、09年夏の総選挙で、民主党への政権交代が決まった直後、自民党の河村官房長官が引き出した2億5千万円が対象だ。

 もはや政権与党として政策遂行に使う必要はなく、自民党議員らの利益を図る目的だったのではないか。原告はそう指摘し、河村長官を東京地検に告発したが、不起訴処分になった。審理の行方が注目される。

 それにしても不可解なのは民主党の対応だ。

 野党時代の01年、機密費流用防止法案を国会に出した。

 機密性の高い支出については25年、それ以外は10年後に相手や使途も含めた情報の公開を義務づける法案だった。

 ところが政権交代後、熱意はすっかりうせ、機密費の情報公開については「検討する」というばかりになった。今回の判決を受けてなお、藤村官房長官は「引き続き検討している」。

 野田内閣は、消費増税に政権の命運をかけるという。ならば税金の使途を透明にする道を示さなければならない。

 いつまでも「検討」している場合ではない。機密費の公開を定めた法案をはやく国会に提出すべきだ。いずれは公開されるという担保がない限り、国民の不信は消えない。

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