HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48875 Content-Type: text/html ETag: "f5a54-134a-4bbd75a4a0e8f" Expires: Fri, 23 Mar 2012 03:21:49 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 23 Mar 2012 03:21:49 GMT Connection: close 3月23日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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3月23日付 編集手帳

 吉田兼好『徒然草』に、旅を語った一節がある。〈いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目さむる(ここ)ちすれ…〉(十五段)。どこであれ、旅に出れば別の世界がひらけ、目が覚める気持ちになる、と◆「目が覚める」には、心が新鮮になる、という意味のほかに、罪を悔い改める、の意味もある。千葉県警習志野署の旅人たちは、後者の意味で〈目さむる心ち〉だろう。いまさら悔いたところで、死者は生き返らない◆警察がストーカーの被害者と家族に「被害届を出すのを1週間待ってほしい」と要請し、やがて2人が刺殺された長崎ストーカー殺人である◆待ってもらった1週間に、刑事課員ら10人が2泊3日の北海道旅行に出かけていたことが明るみに出た。ほかの事件に忙殺されての苦肉の「待ってほしい」だとしても看過できないのに、慰安旅行で人手が不足するのを見越しての「待って」であったとすれば、沙汰の限りである◆遺族は〈目さむる心ち〉どころか、憤りと悔しさとで“ねむれぬ心ち”だろう。殺人事件の被害者家族がこれほど何度も、手ひどく、警察に泣かされた例をほかに知らない。

2012年3月23日01時24分  読売新聞)

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