HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 23 Mar 2012 03:21:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:診療報酬不正 氷山の一角ではないか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

診療報酬不正 氷山の一角ではないか

 愛知県豊橋市の医療法人「豊岡会」グループによる診療報酬の不正受給額は過去最大の約五十億円にのぼるという。行政は長年にわたる書類改ざんを見抜けなかった。他にもないか調べるべきだ。

 不正受給は、看護師が担当する患者数や夜勤時間が少ないと、国から受け取る入院料が高くなる診療報酬制度を悪用する手口だった。手厚い治療を支えるための制度目的に反する、悪質な行為だ。

 豊岡会傘下の愛知県や静岡県の四病院では、夜勤時間の基準超過分をタイムカードから削除したり、事務職員や産休中の看護師を出勤しているとして勤務簿に記載。看護師数の水増しで、昨年までの五年間、不正を続けた。

 豊岡会は不正受給の事実は認めながら、「医療事務担当者の教育が不十分で、管理体制に不備があった」と述べ、故意による不正ではないと主張する。だが、複数の病院で同時期に職員水増しによる不正受給を続けており、組織ぐるみであった疑いが強い。

 診療報酬は患者の窓口負担と保険料、残りは国民の血税である。会は「全額返済する」と言うが、早急に返済計画を示してほしい。医療事務体制の抜本的な見直しや、責任者の処分を含む再発防止策をまとめることも急務だ。

 長年不正を見抜けなかった行政側もチェック態勢の見直しを急ぐべきだ。小宮山洋子厚生労働相は調査結果の報告に「少し時間がかかるかもしれない」と言うが、認識が甘すぎる。厚労省は二〇一〇年末、診療報酬の不正請求などで医療機関に約三十億四千万円の返還を求めた。今回は一つの医療法人で五十億円の巨額な不正だ。

 請求が正しく行われているかどうかは請求書に添付された勤務表を確認することでチェックしているという。医療機関との信頼関係で成り立つ性善説の審査が原則であり、数多くの病院に足を運んで調べるには職員数が不足しているという事情は承知している。

 だが、豊岡会は昨年秋、二十五億円の介護報酬の不正受給で愛知県から行政処分を受けていた。職員水増しという同じような手口だった。もっと目を光らせて監査するべきだっただろう。

 病院は尊い命を預け、守る場所である。七割近い病院で看護師が足りず、厳しい職場環境で働いている。今回のケースは氷山の一角との指摘がある。弱い立場の患者や看護師を食い物にするような不正受給を根絶せねばならない。

 

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