HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50281 Content-Type: text/html ETag: "95fb6-17a4-4bbc3442bd90c" Expires: Thu, 22 Mar 2012 01:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 22 Mar 2012 01:21:14 GMT Connection: close ギリシャ危機 破綻回避しても課題は山積 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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ギリシャ危機 破綻回避しても課題は山積(3月22日付・読売社説)

 財政危機に陥ったギリシャが大量の国債償還を乗り切り、無秩序な債務不履行(デフォルト)を回避した。

 世界を混乱させてきた欧州危機の封じ込めに向け、前進したことを歓迎したい。

 しかし、これで危機を脱したという楽観は禁物である。ギリシャは緊張感を緩めず、経済再生に全力を挙げてもらいたい。

 国債償還で混乱が起きなかったのは、欧州連合(EU)などが1300億ユーロ(約14兆円)の第2次支援策を決め、金融機関も債務カットに応じて、ギリシャの資金繰りにメドがついたためだ。

 ギリシャを救済する当面の応急措置が功を奏したと言える。

 ニューヨーク株式市場の株価は1万3000ドル超で推移し、東京市場の株価も1万円台を回復している。一時は急落していた通貨ユーロも上昇に転じた。

 最近の米国の景気回復も好感されて、市場にはひとまず、安堵(あんど)感が広がっているのだろう。

 ただ、まだ課題は山積する。

 ギリシャは、これまで何度も破綻の危機に直面し、欧州や世界を揺るがしてきた。同じような混乱を繰り返してはならない。

 まず、約束した公務員削減や賃下げなどの緊縮財政策を着実に実行し、財政再建や経済再生に取り組むことが重要だ。

 4月末にも行われる総選挙で発足する新政権の責任は重い。緊縮財政に反発する世論を抑えなければならない。競争力ある産業の育成も問われよう。

 ギリシャは、国内総生産(GDP)に対する政府債務比率が160%と高い。財政再建によって、これを2020年までに約120%に下げる目標を掲げる。

 だが、国内景気が悪化し、12年まで5年連続のマイナス成長が見込まれている。財政再建と景気拡大の両立は容易ではない。

 再建がもたつくと、ギリシャはさらなる支援を仰ぐ事態に陥るかもしれない。欧州では、財政不安が続くポルトガルの国債利回りが高止まりするなど、他にも危機の火だねがくすぶる。

 問題は、EUが7月に設ける欧州安定メカニズム(ESM)の融資規模の拡大が、ドイツの抵抗で遅れていることだ。国際通貨基金(IMF)の資金基盤拡充も、先送りされている。

 先行き懸念を払拭するには、市場の混乱を防ぐ安全網の強化が欠かせない。欧州は危機感を持って結束を再確認し、具体的な行動で示すことが求められよう。

2012年3月22日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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