HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50372 Content-Type: text/html ETag: "86469-1799-4bbaf17c8a5d9" Expires: Wed, 21 Mar 2012 02:22:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 21 Mar 2012 02:22:17 GMT Connection: close 新Xバンド衛星 安全保障と効率の両立を図れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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新Xバンド衛星 安全保障と効率の両立を図れ(3月21日付・読売社説)

 最近の軍事技術の進展は著しい。

 宇宙の分野でも、安全保障の視点を一段と重視すべきだ。

 防衛省が、独自の通信衛星2基を初めて保有する事業を開始する。

 現在は、CS放送会社のXバンド通信衛星3基に自衛隊用の通信中継器を搭載してもらっている。このうち2基が寿命を迎えるのに合わせて、2015、16年度に衛星2基を打ち上げる。12〜30年度の総予算は1224億円だ。

 自衛隊の部隊運用にとって、高度な通信ネットワーク体制の維持は死活的な重要性を持つ。

 だが、有事における自衛隊の基幹通信は民間企業の衛星を「間借り」しているのが現状だ。陸海空3自衛隊の統合任務が増えているのに、3自衛隊間の相互通信が困難なことも深刻な問題である。

 独自の衛星を持てば、3自衛隊間の通信はスムーズになる。任務の内容に応じて、陸海空自の通信量の割り当ても変更できる。自衛隊に最適の位置に衛星を据え、より高品質で高速大容量の通信回線も確保できよう。

 Xバンド衛星の打ち上げでは、民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を初めて採用する。

 防衛予算が10年連続で減少する中、衛星2基と地上施設の整備と15年間の運用事業を一括で募集、契約することで経費節減を図る。従来とは逆に、防衛省の衛星に民間の通信中継器を搭載する。

 防衛装備品の調達は効率化が求められている。衛星事業が成功すれば、他の分野にもPFI方式を応用してはどうか。

 PFI方式の効果的活用には、民間企業の健全な競争が前提となる。1月には大手衛星メーカー三菱電機の水増し請求が発覚し、防衛省などから指名停止を受けた。防衛省は、企業に対する監督体制を強化することが欠かせない。

 一方、政府は、独立行政法人・宇宙航空研究開発機構法改正案を国会に提出した。

 08年成立の宇宙基本法は、非軍事分野に加え防衛目的の宇宙利用を容認した。だが、宇宙機構法は平和目的規定が残り、安保分野の国際協力の障害となっているため宇宙基本法に合わせるものだ。

 例えば、米国防総省は数年前から、人工衛星の破片などの宇宙ゴミ(デブリ)に関するデータ共有の日米協力を提案しているが、具体化していない。

 宇宙における安全保障協力は、様々な可能性を持っている。協力の選択肢を幅広く確保することが日本の国益に合致しよう。

2012年3月21日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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