HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 20 Mar 2012 23:21:17 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 人気番組「料理の鉄人」で、フレンチの鉄人として活躍した坂…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 人気番組「料理の鉄人」で、フレンチの鉄人として活躍した坂井宏行さんが道場六三郎さんとの対談で興味深いことを語っている。料理人が将来、伸びるかどうかはコックコートを着た姿に自分自身が惚(ほ)れるかどうか、で分かるという▼自分を鏡に映し、「おぉ、かっこいいじゃん」と惚れることができる人は、料理人として生きてゆく気持ちが強い人だ。「惚れたら軸はぶらすなと。この軸がぶれると二流になってしまう」と語っている(『致知』四月号)▼新聞やごみに覆われた机で、背中を丸めてパソコンに向かうわが身の姿は鏡に映したくないが、惚れたら軸はぶらすな、という坂井さんの言葉は強く心に残る▼内閣府の推計によると、二〇一〇年三月に大学・専門学校を卒業した約七十八万人のうち、就職後三年以内の離職者は約二十万人に上る。大学・専門学校生で五割、高卒では七割近くが、無職か非正規雇用など不安定な仕事に就くとみられる▼教育から雇用の円滑な接続ができていないと、政府は若年層の就労を支援する有識者らの「若者雇用戦略」を今年夏までに策定するが、離職する若い世代を「忍耐不足」「わがまま」と責めるのは間違いだ。春の新卒一括採用など、日本の企業に共通する悪弊も原因だろう▼働くことは大変だ。鏡に映った自分の姿に惚れる。そんな仕事に出会えた人は幸せである。

 

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