HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50508 Content-Type: text/html ETag: "f6a1-17d8-4bb9b026889c1" Expires: Tue, 20 Mar 2012 01:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 20 Mar 2012 01:21:14 GMT Connection: close アフガン混迷 性急な国際部隊撤収は危険だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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アフガン混迷 性急な国際部隊撤収は危険だ(3月20日付・読売社説)

 地道に積み重ねてきた米欧とアフガニスタンとの信頼関係も、心ない行為や突発的な事件によって一瞬に崩れ去る。

 報復行為との悪循環で多くの命が奪われ、治安の先行きは一層不透明になっていく。これが戦地アフガンの現状だ。

 今年に入り、アフガン情勢は悪化するばかりである。

 1月、米海兵隊員が旧支配勢力タリバンの兵士の遺体に放尿する動画が投稿サイトで流れた。

 怒ったアフガン軍兵士が、国際治安支援部隊(ISAF)傘下の仏軍兵士4人を殺害するや、サルコジ仏大統領は、仏軍戦闘部隊の撤収を予定より1年早め、「2013年末に完了」と発表した。

 2月には、ISAF要員がゴミと一緒にイスラム教の聖典コーランを燃やしたことが発覚した。反発したアフガン人が内務省顧問の米軍士官2人を殺害したため、各省顧問団は一斉に引き揚げた。

 アフガン政府と米欧の間で不信の溝が広がったと言える。それをさらに決定的にしたのが、今月11日、南部カンダハル州で起きた民間人虐殺事件だ。

 子供9人を含む16人を無差別殺害した米軍2等軍曹の行為は釈明の余地がない。米政府は、事件を徹底的に究明し、容疑者を訴追して、信頼回復に努めるべきだ。

 懸念されるのは、タリバンが、米政府と水面下で進めていた和平交渉を、民間人虐殺事件後、一方的に打ち切ったことだ。

 オバマ米大統領は、米軍戦闘部隊をアフガンから14年末までに撤収させる、と公約している。

 「責任ある撤収」を実現するため、アフガン治安部隊を育成・強化して自立を促す一方で、南部に根を張るタリバンとの政治的な和解・和平を進める計画だ。

 タリバンを再び対話の場に戻す上で新たな工夫が必要だろう。

 米世論調査では、アフガンでの反米感情の高まりと米兵の死傷者増加に嫌気がさして、撤収の前倒しを求める声が多数を占める。

 だが、性急に戦闘部隊撤収に動けば、タリバンは政権奪還へ軍事攻勢を強めるだけである。アフガンを再びテロの温床に戻さぬよう国際社会の連携が求められる。

 相次ぐ米軍の失態で、アフガン情勢は大きな危機に(ひん)している。治安の悪化を食い止めるため、軍事、外交両面での努力を倍加させる責任が米国にはある。

 日本は7月にアフガン支援の国際会議を主催し、カルザイ大統領を招待している。アフガン安定化への側面支援も強めたい。

2012年3月20日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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