
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50430 Content-Type: text/html ETag: "2f54fc-17b4-4bb8701c99951" Expires: Mon, 19 Mar 2012 03:21:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 19 Mar 2012 03:21:15 GMT Connection: close
![]() 科学技術研究 悪用のリスクは軽視できない(3月19日付・読売社説)最先端の科学研究がテロなどに悪用される恐れはないか――。 日米欧の研究者によるインフルエンザウイルス研究を契機に、科学技術の負の側面について、国際的な論議が広がっている。 こうした安全保障上の問題について、日本の科学界はこれまで鈍感だった。政府と専門家が、本格的に議論する機会としたい。 問題となった研究は、強毒性の鳥インフルエンザウイルスに関するものだ。通常は鳥同士で感染するが、日米、欧の研究グループが昨年、それぞれウイルスの遺伝子を操作して、人を含む哺乳類にも感染しやすい新型を作った。 今の鳥インフルエンザでも、2003年以降、世界で約600人が感染し、うち6割が死亡している。これが人同士で感染する新型に変われば被害は甚大だ。その監視に役立てるのが目的だった。 ワクチンや治療薬の開発に結びつく、重要な研究でもある。 研究グループは、成果を論文にして公表しようとした。 ところが、研究費を出資した米政府が待ったをかけた。テロリストが同じ手法で致死性ウイルスを作り出し、ばらまくなどのリスクを懸念して、詳しい手法を論文から削るよう求めた。 2001年の米同時テロの際には、 これに対して、多くの研究者が詳しいデータなしでは治療薬の開発などに成果を生かせず、新たなインフルエンザ対策に支障が出かねない、と異論を唱えた。 世界保健機関(WHO)は、先月、論文公表を当面見合わせ、その間に専門家が悪用を防ぐ措置を検討した上で、公表の可否を判断すべきだ、と勧告した。 米政府の懸念通りになれば、世界が大混乱する。勧告は、現実的な内容と言えよう。 ウイルスや実験設備の管理強化は欠かせない。日本人の研究も議論のきっかけだけに、WHOの検討に対して、日本から建設的な提案をすべきだ。 国内の論議も深めたい。 日本学術会議は昨年から、専門の委員会を設けて、科学研究の悪用について検討している。 先週は、防衛省から医官を招いて意見を聞いた。米国などの軍事研究の実態も紹介された。日本の科学界が、軍事研究に積極的に耳を傾けるのは極めて異例だ。 夏までに、考え方をまとめるという。政府の検討材料となり得る実のある議論を期待したい。 (2012年3月19日01時32分 読売新聞)
![]() 東京本社発行の最終版から掲載しています。
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