HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49220 Content-Type: text/html ETag: "f2043-137f-4bb86e9548b2c" Expires: Sun, 18 Mar 2012 21:21:48 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 18 Mar 2012 21:21:48 GMT Connection: close 3月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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3月19日付 編集手帳

 「東風(こち)吹かば……」の歌を詠んだ菅原道真は史書の編集にも秀でていた。膨大な史料を短冊に要約する手法を駆使し、使いやすく、正確な史書をまとめた、と『菅原道真』(坂本太郎、吉川弘文館)にある◆1100年も前、貞観地震と津波が東北を襲った。道真が20代半ばの時だ。遠国の悲劇を知り、後世に伝えねば、と誓ったのだろうか。後に携わったとされる「日本三代実録」は被害のあらましを今に伝える貴重な文献となった◆地震と原発事故から1年が過ぎ、野田首相は「経験を語り継ぐことが最大の鎮魂だ」と言う。記録は、過ちを繰り返さない第一歩だ。だが、前政権は重要な会議の議事録も作成しなかった。ようやくまとまった議事概要は脈絡がなく、議論の全体像が分からない。政府の原発事故対応を「断片的、かつ子供っぽい」と断じた閣僚発言が載っているが、粗雑な議事概要にも同じ言葉を贈りたい◆議事録作りに抵抗した役所もある。失態を隠すつもりかと勘ぐりたくなる◆道真は、書斎に入り込み、史書編集を妨害する人に悩まされた。道真がいう「無智(むち)の者」は、今の世にも、いる。

2012年3月19日01時26分  読売新聞)

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