HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50500 Content-Type: text/html ETag: "846fd-1739-4bb7302296600" Expires: Sat, 17 Mar 2012 23:21:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 17 Mar 2012 23:21:15 GMT Connection: close 春闘回答 景気と賃金の悪循環を断とう : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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春闘回答 景気と賃金の悪循環を断とう(3月18日付・読売社説)

 今年の春闘は、自動車や電機など主要企業が賃上げを見送り、一時金も軒並み前年割れという厳しい結果となった。

 歴史的な円高と海外経済の悪化で、企業業績は低迷している。このため、主要労組の多くが賃金改善を図るベースアップを要求せず、雇用確保を優先せざるを得なかった。

 だが、会社と雇用を守るために賃金を切りつめた影響で内需が冷え、景気がさらに悪化する。そんな悪循環を断ち切らなければならない。企業各社に難しい宿題が残されたと言えよう。

 今春闘で労働側は、年齢や勤続年数に応じて賃金を増やす定期昇給の維持だけは譲れないとして、交渉に臨んだ。

 経団連は「定期昇給の実施を当然視できなくなっている」と、強い危機感を示していたが、大半の大手企業が定昇確保に応じた。

 働き盛りのサラリーマンは、育児や教育などの出費が毎年増えていく。労働者の実情に、経営側が配慮したことは妥当だろう。

 東日本大震災で被災した工場の復旧作業や、節電のための深夜・早朝勤務で無理を重ねた社員に、少しでも報いようとした気持ちもうかがえる。

 とはいえ、企業努力には限界がある。電機大手のNECは15日の労使協議で、9か月間の4%賃下げなど、一般社員の給与削減策を提案した。シャープも定昇の一時凍結を検討中という。

 円相場の急騰は一服したが、輸出企業にとっては依然として厳しい円高水準だ。

 今年は欧州でマイナス成長が見込まれ、中国など新興国の高成長にも陰りが見える。外需の先行きには不透明感が強い。

 中国や韓国のメーカーは、価格の安さだけでなく品質面でも強力なライバルになった。国際競争はさらに激しさを増すだろう。

 一方、明るい材料も出てきた。米国景気の好転などを背景に、東京市場の平均株価は、1万円の大台を回復した。

 大震災の打撃を克服し、主要企業の業績は、今年度の大幅減益から、来年度は増益に転じる見込みだ。反転攻勢に弾みをつけることが期待される。

 何よりも、民間の創意工夫で成長分野を開拓し、企業の収益力を高めることが大切だ。震災復興は省エネや新交通など、新規需要を発掘する好機でもある。

 政府は、低利の政策融資や投資減税などで、企業の努力に機動的な支援をしてもらいたい。

2012年3月18日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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