HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 17 Mar 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:公務員採用削減 既得権にこそ切り込め:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

公務員採用削減 既得権にこそ切り込め

 野田内閣が二〇一三年度の国家公務員新規採用を大幅に減らす方針だという。身を切る努力は多とするが、若者の雇用への配慮を欠く。民間に比べ高い退職給付など既得権にこそ切り込むべきだ。

 消費税率引き上げに向けて国民の理解を得るための環境づくりなのだろう。野田内閣は一三年度の新規採用を、自公政権下の〇九年度の八千五百十一人に比べて七割程度削減する方針を打ち出した。

 民主党が政権に就いた後、新規採用は一一年度が〇九年度比37%減の約五千三百人、一二年度は同26%減の六千三百人に抑制されており、一三年度は仮に七割程度が削減されれば二千五百人程度にとどまる。

 厳しい財政状況下、肥大化した行政組織を抜本的に見直し、適正規模を目指すのは当然だ。

 民主党は〇九年衆院選マニフェストで国家公務員総人件費の二割削減を掲げており、新規採用の抑制がその実現に向けた手法の一つであることは認める。

 ただ、新規採用をどの程度抑えるかは本来、国がやるべき業務と必要な職員数を精査して中長期的な採用計画を練り、それに基づいてはじき出されるべきだ。やみくもに削ればいいわけではない。

 行政組織の年齢構成がいびつになれば、必要な職務の遂行にも影響が出る。ただでさえ「就職氷河期」にあえぐ若者の雇用機会を奪うことが妥当な判断だろうか。

 野田内閣がまずやるべきは、無駄な仕事や支出をなくすことだ。出先機関の「原則廃止」や、天下りと一体となった独立行政法人などへの支出削減などを着実に前進させなければならない。

 官民格差の是正も急務だ。人事院の一〇年度調査では、退職金と年金の上乗せ部分を合わせた退職給付は国家公務員が民間を約四百万円上回った。実際の格差はさらに大きいとの指摘もある。

 こうした既得権に手を付けず、単に新規採用を削るのなら、政権の力量不足のツケを若者に回したと批判されても仕方があるまい。

 公務員給与は東日本大震災の復興財源に充てるため平均7・8%削減されたが二年間の時限措置だ。引き続き抑制する策を考えたらどうか。

 公務員の給与を削るなら、それを最終的に決める国会議員自らが範を示す必要も出てこよう。

 歳費だけでなく、一人当たり月百万円の文書通信交通滞在費や約三百二十億円の政党交付金の削減も検討課題にすべきである。

 

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