HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 17 Mar 2012 22:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:がれき広域処理 助け合いへ情報公開を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

がれき広域処理 助け合いへ情報公開を

 東日本大震災で出たがれきの処理を手伝おうと名乗りを上げる自治体が増えてきた。被災地の復興に向け助け合いたい。だが放射能汚染への不安が残る。徹底した情報公開と住民合意が大前提だ。

 大震災から既に一年余り。被災地のがれきを引き受けてほしいと、国がようやく道府県と政令指定都市に正式に協力を求めた。

 災害廃棄物を全国の自治体で受け入れる広域処理を定めた法律は昨年八月にできている。本腰を入れるのがいかにも遅すぎる。国は地方任せの姿勢を改め、全責任を担って処理を加速させるべきだ。

 岩手、宮城、福島三県では二千二百五十万トンのがれきが生じ、ほとんどが山積みの状態だ。最終処分が済んだのは一割に満たず、復旧復興の足かせになっている。

 大事故を起こした東京電力福島第一原発を抱える福島のがれきは放射能汚染の恐れが強く、国を中心にして県内で処理する。

 岩手と宮城はそれぞれ普段の十一年分、十九年分の膨大ながれきを背負い込んだ。仮設焼却炉をこしらえているが、自前の処理能力ではとても追いつかない。

 協力を買って出た自治体はまだ少ない。放射性物質の拡散を心配する住民らの反対に遭い、実際にがれきの受け入れに踏み切ったのは東京、青森、山形の三都県にとどまっている。

 被災地の焦りと嘆きが国の背中を押した形だ。困ったときには助け合いたい。そのためにも今度ばかりは厳しい条件をつけねばなるまい。引き受ける自治体の住民らの放射能への不安を和らげ、合意を得るよう努力することだ。

 疑念の背景には原発事故の実態や放射能の影響について情報を隠したり、甘く評価したりしてきた国と東電への不信感がある。国が先頭に立って情報を公開し、丁寧な説明を尽くさないと広域処理への理解と協力は得られまい。

 岩手県のがれきの受け入れを表明する前に、静岡県島田市が手掛けた試験焼却は参考にしたい。現地のがれき置き場や運搬中、焼却前後にきめ細かく放射線を調べた。住民らが直接検査できるよう焼却灰まで示した。

 国の要請に呼応して手を挙げる自治体が相次ぐ。最終処分場の確保にも、国は汗をかくべきだ。

 がれきを再生利用して量を減らす工夫も大事だ。防潮林の盛り土や高台の造成、セメント工場などの原材料として活用する。被災地の再建へ官民で知恵を絞ろう。

 

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