HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 15 Mar 2012 22:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「中学生日記」 傍らを歩いてくれたね:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

「中学生日記」 傍らを歩いてくれたね

 NHK名古屋放送局制作の「中学生日記」が半世紀の歴史を閉じる。等身大の中学生群像が共感を呼んできた。時代が同伴者を求める限り、番組は終わっても、“日記”は書き継がれていくだろう。

 名古屋市内の中学校の校舎屋上。ミニスカ、ルーズソックスの二人の二年生。一人が語る。

 「ミニスカート、先輩に切ってもらったんだ。自分じゃやり方、わかんなかったしさ。十センチにするとか、十五センチいっていいとか、一センチ、一センチに大騒ぎしてさ。でも何かうれしかった。あたしうれしかったんだよ」

 二〇〇三年四月十九日放送、「03春 ミニスカ戦記 乙女の20センチ」の一場面。中学生日記の歴史は、台本があるとは思えないような、みずみずしい生の言葉の記録、共感の記録である。

 前身の「中学生次郎」は一九六二年の四月に始まった。団塊の世代が高校受験に差しかかり、受験戦争が社会問題化した。当初は、子どもの受験に戸惑う親たちのための“教養番組”だったという。

 七二年に今のタイトルに変わってからは、リアルさを前面に打ち出した。七五年から六年間、風間先生を演じた湯浅実さんを、本物の教師と思い込んでいた中学生も多かった。

 受験や友情、恋愛、家族だけでなく、社会問題も積極的に取り入れた。二〇〇〇年には、名古屋市内で実際に起きた事件を基に、恐喝問題をシリーズ化、世代を超えた反響を呼んだ。

 演じるのはオーディションで選ばれた現役中学生ら、あくまでも現実の学校や生徒、それを取り巻く社会に寄り添う制作姿勢が、深い共感を広げていった。

 問題や悩みを抱えた中学生は、画面の中に自らの分身を見いだした。そして、「なんだ、ひとりじゃないや」と、安心を得ることができたのだろう。

 打ち切りの理由は、やはり視聴率の低迷だ。中学生もネットに忙しく、テレビは軽い娯楽の場になった。けれども、番組宛ての相談やSOSは、今も続いているという。

 かつては生徒を演じ、最終回には“母校”の校長役で登場する、女優の竹下景子さんは「震災以来、人は寄り添うものを強く求めている。今こそ必要な番組。形を変えても復活してほしい」と、別れを惜しむ。

 日記はひとまず閉じられる。しかし、青春が傍らに寄り添うものを求める限り、きっとまた、書き継ぐものが現れる。

 

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