HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48710 Content-Type: text/html ETag: "f59c1-134a-4bb22463cbe19" Expires: Tue, 13 Mar 2012 20:21:18 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 13 Mar 2012 20:21:18 GMT Connection: close 3月14日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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3月14日付 編集手帳

 作家の故・井上ひさしさんは本名を「井上廈」という。読みは筆名と同じ「ひさし」である。難しい漢字はいろいろ複雑な読み方をされたらしい。草履の履の字と間違われて「いのうえ・ぞうり」と読まれたこともあると、随筆に書いていた◆「廈」ほどの難読人名はそうそうないだろうが、名前の漢字が本紙の『気流』欄(東京版)で小さな“論争”になっている◆小学校には、自分の名前でも習っていない漢字は使わせてくれない先生がいる。「クラスメートの名前ぐらいは漢字で読めるようにするべきだ」というお母さんの投稿がきっかけである◆「子供たちが漢字に興味を持つ契機になる」という共感の漢字派あり。「習わない漢字を自己流で書き、筆順などを間違って覚えては…」という異論のひらがな派あり。ともに、子供の教育に良かれ、と信じての意見で、どちらにもなるほどと思う◆その年齢の子供がいない外野席の身ながら、たとえばまだ習っていない麗子ちゃんの「麗」の字を見て、美しいツノを(いただ)いた鹿を思い浮かべるだけでも、きっと楽しいだろう。漢字派におずおずと1票を投じてみる。

2012年3月14日01時22分  読売新聞)

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