HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 14 Mar 2012 00:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:丸ごと支援 助けながら多くを学ぶ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

丸ごと支援 助けながら多くを学ぶ

 津波で壊滅した岩手県陸前高田市を、幅広く長期に手助けする名古屋市の「丸ごと支援」が成果をあげている。丸ごと支援は独創的な支援の形だが、遠い町と手を結ぶ安全を、平時から考えたい。

 約二万四千人が暮らしていた陸前高田市では、千七百九十五人が犠牲になった。市の職員も四分の一にあたる六十八人の命が失われた。市街地や庁舎が壊滅し、職員が多く亡くなったのは、岩手県では陸前高田市と大槌町、宮城県では南三陸町の三市町だった。

 その中で、名古屋市は震災から約一カ月で、陸前高田市を「丸ごと支援」すると決めた。その前に、被災地全域を見る先遣隊を三度にわたり派遣。「多くの保健師が亡くなった。一日も早く助けてほしい」という陸前高田市の切実な要望をキャッチしていた。名古屋には、伊勢湾台風の水害で全国から助けられた記憶がある。

 名古屋市はこの一年で延べ百四十四人を派遣した。今も二十三人が手助けする。防災、高齢福祉、生活保護、住民票交付など、全面的で長期の丸ごと支援は例がない。今後の災害支援では、画期的な先例として語り継いでほしい。

 支援する側、される側の双方に力となる丸ごと支援であった。仕事の円滑化と地元との信頼醸成、派遣職員の意識改革、両方の市職員のストレス軽減−など、主に三点を指摘できる。

 昨年五月から、水道事業を手助けする職員は「あらゆる部署に気心の知れた名古屋の仲間がいるので、声をかけあってスムーズに仕事が進みました」と振り返る。「被災地の人にとって、死ぬか生きるかという大切な仕事に携わったことで、公務員としての使命感が格段に強くなりました」とも。助けながら学んだことは多い。

 丸ごと支援と形は違うが、大災害に備え、遠い町と手を結ぶ試みは進んでいる。中部から九州まで十七府県の十七市一町は二〇〇九年、市町村広域災害ネットワークを立ち上げた。昨年九月には台風被害にあった兵庫県高砂市が、浸水した家屋の消毒に使う消石灰を求めてSOSを発信。幹事の自治体を通じてメールが発信され、消石灰の調達に成功した。

 メンバーである岐阜県可児市の担当者は「同時被災の可能性が低い、遠い町の連携は大変な力になる」と話す。東日本大震災では近隣の自治体機能が広域にわたりマヒした。万一に備え、遠い町と手を結ぶ動きを加速してほしい。

 

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