HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49031 Content-Type: text/html ETag: "23a0d-13b8-4bb0e403cba25" Expires: Mon, 12 Mar 2012 21:21:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 12 Mar 2012 21:21:17 GMT Connection: close 3月13日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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3月13日付 編集手帳

 涙で目が潤んでいる様子を、「うるうる」と言い表す。若い人たちがよく用いるので、言語感覚の鋭いどこかの女子高生あたりによる造語だとばかり思っていたが、どうもそうではないらしい◆小学館の日本国語大辞典は【うるうる】のもっとも古い用例として鎌倉時代の辞書『(みょう)語記(ごき)』の一節を引いている。〈小児のなかむとする時は、目のうるうるとなりて、涙のうかぶ(なり)〉。由緒正しき古語のようである◆【うるうる】は辞書で【うるうどし】を引く道草に、同じページのご近所で見つけた。うるう年には夏季五輪があり、勝者や敗者がテレビ桟敷の目を潤わせてくれることを思えば、二つの言葉はまんざら縁がなくもない◆きのうはロンドン五輪マラソンの日本代表、男女各3選手が決まった。いろいろな競技で大詰めの選考がつづく。選に漏れた選手は皆、気丈に、さわやかに敗戦の弁を語るのが常だが、ロンドンを夢みて流しただろう4年間の汗の量を思い、見ているこちらは「うるうる」となる◆嘆きと悲しみの「うるうる」に明けては暮れたこの1年である。夏の「うるうる」がいまから待ち遠しい。

2012年3月13日01時28分  読売新聞)

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