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中条きよしさんの「うそ」は山口洋子作詞、平尾昌晃作曲という贅沢(ぜいたく)な歌だった。#折れた煙草(たばこ)の吸いがらで/あなたの嘘(うそ)がわかるのよ……。もみ消したつもりのうそが、男の灰皿でくすぶる▼大阪府警の不祥事に、38年前のはやり歌を口ずさんだ。ある警察署で、凶悪事件の証拠だった吸い殻を紛失してしまう。「何とかするわ」と刑事課長、同じ銘柄の吸い殻をバス停で拾い、失態をなきことにした。監査を控えての妄動らしい▼別の署では、飲酒検挙の猛者だという警部補が、アルコール検出値を増量した疑いで捕まった。摘発された運転者も元警察官。飲んだビールは普通缶なのに、捜査書類ではロング缶にされたと抗議したため、捏造(ねつぞう)データに符合させた容疑が発覚した▼煙草も酒も昭和歌謡の小道具だ。殺伐たる時代、演歌を奏でる警察署もいいけれど、物証を軽んじた愚行は恐ろしい。自白に頼る捜査が数々の冤罪(えんざい)を生んだ歴史、まさかお忘れではなかろう▼歌の中の「うそ」は、哀(かな)しくも慎(つつ)ましい。当時高校生の筆者に鮮烈だったのは、男の口先から出た〈エプロン姿がよく似合う〉の詞だ。この種のうそに泣くのは一人だが、警察のそれは治安を揺るがす▼西が西なら東も東。警視庁の巡査部長ら4人が、パトカーで巡回中の深夜、畑でエアガン遊びに興じたとして処分された。震災直後を含め、当直中に10回ほどやったという。西も東も、皆さん職を誤った。制服姿がよく似合う大方の警察官が、気の毒でならない。