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３月１２日付　編集手帳

　「私の国も日本も、再建に取り組んでいるという点では同じだ」。宮城県石巻市で会った、２９歳のエジプト人建築家アーテフさんは力強く言った。◆「アラブの春」で人生が変わった１人。もともとノンポリだったが、昨年２月は連日、カイロの広場で独裁者打倒を叫び、大統領が退陣すると新党に参加した◆国際交流基金の招待で先月、変革のさなかの中東から、アーテフさんら「次世代リーダー」１６人が来日した。東北や東京で、地域再生に取り組むボランティアや若手起業家と語り合った。被災地で犠牲者に黙祷(もくとう)をささげた時、チュニジアの女性が泣いていた◆思えば中東では、体制に抗議の声をあげた多くの青年の血が流れた。３０歳未満が人口に占める割合を見ると、エジプトでは６割。少子化が進む日本で３割を切ったのに比べ、ずいぶん高い。独裁で疲弊した国家の再建の行く手は若者たちにかかる◆一行が帰国する前に聞くと、当局に頼らず協力の輪を広げている同世代の日本人から、大いに学んだと言う。日本の若い層は少数派だが、やはり世の中を変える力を持っているのでは、と考えさせられた。

（2012年3月12日01時20分読売新聞）

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