HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50551 Content-Type: text/html ETag: "a7245-176d-4bad1eef1e8fb" Expires: Fri, 09 Mar 2012 21:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 09 Mar 2012 21:21:14 GMT Connection: close 新型インフル ワクチンの供給体制が課題だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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新型インフル ワクチンの供給体制が課題だ(3月10日付・読売社説)

 強い毒性と感染力を持つ新型インフルエンザの発生に備えて、政府が特別措置法案を今国会に提出した。

 強毒性のウイルスが流行した際に、政府が「緊急事態」を宣言し、これに基づいて都道府県知事が踏み込んだ措置をとれるようにする内容だ。

 新型インフルエンザは10〜40年周期で発生するとされる。免疫を持つ人がほとんどいないため、仮に強毒性の新型が流行すると、最悪の場合には、国内だけで64万人が死亡すると推定されている。

 いつ襲来するか分からない。政府が危機管理の一環として、対策を整えるのは当然である。

 現在でも政府や都道府県は、外出自粛やイベント中止を要請できる。だが、法的強制力はない。

 特措法案は、知事の「要請」が正当な理由なく拒まれた時に、改めて、より強い「指示」を出せるようにする。これに反した場合の罰則は設けないが、政府は、従わない企業名などを公表することで実効性を持たせる方針である。

 指揮命令系統を明確化する点でも意義は大きい。感染者の治療施設として必要となる土地や建物の使用、医薬品など必需物資の輸送や売り渡しも指示できる。

 法案には、こうした私権制限は「必要最小限のものでなければならない」と歯止めをかける規定もある。内容は妥当と言えよう。

 政府は、強毒性の新型ウイルスの流行が予測される場合には、原則として国民全員に予防接種を行う計画だ。このため、2013年度までに、ワクチン製造体制を確立するとしている。

 それでも1億3000万人分を製造するには、半年程度はかかると見られている。

 製造体制をさらに拡充するとともに、優先的に接種する職種や年齢などを綿密に検討し、あらかじめ決めておく必要がある。

 大災害では、救助・治療の順番を冷徹に見極める対応や判断が求められる。優先順位のつけ方についても、平時から議論を積み重ねておくことが重要だ。

 医療、交通機関などの協力体制や物資備蓄のあり方など、検討すべき課題は、他の緊急事態にも応用できる。与野党はそういう観点から早急に法案を審議し、成立させるべきだ。

 原発事故への対応に関する検証では、首相官邸の混乱ぶりが民間事故調から厳しく指弾された。大震災の発生から1年になる。その教訓をインフルエンザ対策にも生かさねばならない。

2012年3月10日01時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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