HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 09 Mar 2012 23:22:17 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: これは米国の幼い子らが神様にあてて書いた手紙の中の一通だ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 これは米国の幼い子らが神様にあてて書いた手紙の中の一通だ。<ひとを しなせて あたらしいひとを つくんなきゃ ならないのなら かわりに いま いるひとを そのままに しといたら どう?/ジェーン>(谷川俊太郎訳『かみさまへのてがみもっと』)▼あの日から明日でもう一年になる。大震災による夥(おびただ)しい数の犠牲者とは、それぞれに誰かのかけがえのない人だったはずで、そう思えば、この少女の“提案”が、どうにも切なく胸に迫る▼神様は、<いま いるひとを そのままに>しておいてはくれなかったが、その日も<あたらしいひと>をつくった。明日は、被災地が迎える犠牲者の初の命日。だが同時に少なくない子の一歳の誕生日でもある▼『ハッピーバースデイ3・11』というサイトで紹介されている宮城県南三陸町の佐藤春晴(はるせ)ちゃんも、その一人。震災当日の午前四時すぎに生まれた。だから父や祖母は仕事を休んだ。それで津波の難を逃れた▼福島県には震災発生から三十分もたたぬうちに生まれた子もいる。病院にいた母親の陣痛の最中に地震が起き、退避した駐車場の車の中で取り上げられた▼自然の前では人はちっぽけな存在だ。そう思い知らされた3・11。だが、その中でさえたくましく命を紡いだのも人。<いま いるひと>たちに勇気をくれる<あたらしいひと>たちである。

 

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