HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 30063 Content-Type: text/html ETag: "128d49b-5c5f-fd4bd2c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 08 Mar 2012 23:21:01 GMT Date: Thu, 08 Mar 2012 23:21:00 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年3月9日(金)付

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予算衆院通過―「消化試合」は許されぬ

新年度予算案が、きのう衆院を通過した。参院で否決されても、憲法の規定で衆院の議決が優先されるため、4月初旬までの成立が確実になった。野田政権は「ひと山越えた」という感じ[記事全文]

地域の防災―ラジオの力、より強く

去年はラジオがおととしの5割増しで売れた。東日本大震災をきっかけに、その力が見直されたのだ。津波に襲われた人たちから次々に届くSOSメールを、地元[記事全文]

予算衆院通過―「消化試合」は許されぬ

 新年度予算案が、きのう衆院を通過した。参院で否決されても、憲法の規定で衆院の議決が優先されるため、4月初旬までの成立が確実になった。

 野田政権は「ひと山越えた」という感じに違いない。

 しかし、予算案の問題点は、まったく改善されていない。これからの参院の審議での修正・組み替えを改めて強く求める。

 たとえば、整備新幹線の未着工3区間や八ツ場(やんば)ダム本体工事の着工、東京外郭環状道路の建設再開である。社会保障と税の一体改革で、国民に消費増税をお願いしようというときに、大型公共事業を次々に並べる感覚が理解できない。

 交付国債という手法も「粉飾まがい」だ。国債発行額を少なく見せるため、基礎年金の国庫負担率を2分の1に維持するのに必要な2兆6千億円分を、別枠で手当てする。だが国債を減らしたいなら、そのぶんの歳出を削るのが筋だ。

 自民、共産、みんなの各党の予算案の組み替え動議を、与党は一蹴した。だが、もっと柔軟に修正に応じるべきだ。そうしないと、衆参ねじれ国会は、また動かなくなる。

 野党も責任の重さを自覚してほしい。自民、公明両党は予算案本体には反対したが、地球温暖化対策税の導入などを盛り込んだ税制改正法案など4法案には賛成した。

 国民生活への影響を考えて、政策の中身で賛否を決めたことは、率直に評価する。

 一方で、赤字国債を発行するための特例公債法案には、相変わらずの反対姿勢だ。昨年は、この法案を「人質」とし、菅首相の「退陣予告」後の8月末まで成立がずれ込んだ。

 ここは冷静になろう。現状の税収では、赤字国債なしに予算は組めない。しかも、これほどの借金財政は、自民党政権が招いたものではないか。

 予算案に反対する以上、この法案にも賛成しないという理屈はわかる。けれど、廃案にはしない穏便な策を練るのも野党の度量の示し方ではないか。

 野田首相と谷垣自民党総裁の秘密会談が報じられて以降、永田町では「話し合い解散」が話題だ。しかし、増税法案が提出されてもいないのに、解散風に浮足立つなど、あり得ない。

 いま与野党が率先して取り組むべきは、社会保障の具体策と財源論をめぐる徹底討論であり、その政策の実現だ。

 参院の予算審議での真剣勝負を期待する。どうせ予算は成立するのだからという「消化試合」など見たくない。

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地域の防災―ラジオの力、より強く

 去年はラジオがおととしの5割増しで売れた。

 東日本大震災をきっかけに、その力が見直されたのだ。

 津波に襲われた人たちから次々に届くSOSメールを、地元のラジオ局が読み上げた。電話が通じないなか、それで助かった人がいる。

 その後も、救援物資や安否の情報を伝えつづけた。

 そこで大きな役割を果たしたのが、震災後、沿岸部を中心に各地にできた臨時災害FMや、もとから地域にあったコミュニティーFMだ。

 電波の届く範囲がふつうのFMより狭いぶん、地元の被災者に必要な情報をくわしく、くり返し発信できる。今も岩手から茨城までの4県で計36局が放送を続け、復興への情報や被災者を励ます番組を流している。

 ところが今、その多くが危機にさらされている。

 コミュニティーFMは、スポンサー企業が被災して広告が大きく減った。正社員だったスタッフを臨時雇用に切り替えてしのぐ局もある。

 市町村が運営する臨時災害FMは、台所が苦しくて、いつまで続けられるかわからないところが多い。

 これまでは、公益財団や国、全国の大手企業の支えで足りない資金をまかなってきた。放送を続けるには、もっと多くの支援が必要だ。放送の機材や設備、人材も足りない。

 東日本の地域放送局がつくった支援機構や総務省が、応援にまわっている。

 次の災害に備えるためにも、なるべく多くの局を維持しておく必要がある。地域社会に欠かせぬ道具として守り育てたい。

 災害のとき、電話やテレビ、インターネットと切り離された人たちへ、いかに情報を届けるか。大地震が予想されるほかの地域もひとごとではない。

 首都圏の場合、すでに多くのFM局がひしめいていて、周波数帯に空きがない。いざというとき、今回の東北のように臨時災害FMの網をはりめぐらすことは難しい。

 そこで、アナログテレビの1〜3チャンネルが使っていた周波数帯を使い、防災デジタル・コミュニティーラジオを新たに作る計画がある。近く神奈川県で実験放送が始まる予定だ。

 実用化を急ぎたい。

 ただ、放送を聴くには新たな受信機が必要だ。多くの人に行き渡るまでには時間がかかる。

 国や自治体は、地域の情報を送る携帯電話の一斉メールの活用など、ほかに使える手段も整えておくべきだ。

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