HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 06 Mar 2012 20:21:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:中国国防予算 強まるばかり軍の圧力:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国国防予算 強まるばかり軍の圧力

 五日開幕した中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)に上程される今年の予算案で、国防費が二桁の伸びを続けることが明らかになった。背景には強まる一方の軍の圧力がある。

 全人代に先立ち記者会見した李肇星スポークスマンは二〇一二年予算案の国防費が前年実績に比べ、11・2%増の約六千七百二億元(約八兆七千億円)になると明らかにした。当初予算比では11・5%の増加になる。国防費は一昨年、当初予算の伸びが前年実績に比べ二十二年ぶりに一桁にとどまったが、昨年から再び二桁の伸びになった。

 今年は胡錦濤指導部が任期の最終年を迎える。周辺国で高まる「中国脅威論」に配慮し「平和的発展」を強調しているため、国防費を抑制するという見方もあったが、二桁の伸びを維持した。

 これについて李スポークスマンは「国内総生産(GDP)比で2%以下で米国や英国に比べても低い」と脅威論を否定した。しかし、中国の国防費は公表分以外に研究開発や武器購入には隠れた別枠があるとされ、米国防総省は実際の国防費は公表分の約一・九倍に相当すると推計している。

 国防費の伸びについて、全人代に並行して開かれた政策助言機関・人民政治協商会議の軍出身委員は、中国の公式報道機関に、もっとあからさまに語っている。

 「海外の評判を気にする必要はなく言わせておけばいい。軍費は米国に比べ少なすぎる」(孔瑛中将)「多くの武器装備は西側の大国に比べられないほど遅れている。水準を不断に向上させるには軍費が必要だ」(陶方桂中将)

 彼らの意見は指導部が直面する軍の圧力の一端を物語る。人民解放軍は国家予算に頼りながら「国軍」であることを否定し「党の軍隊」を自任している。

 統帥権を握る中央軍事委員会は十二人の委員のうち、主席は胡国家主席、副主席は習近平国家副主席の文民が兼務しているが、他の委員はすべて軍人。人事権を握り軍予算にも圧倒的影響力を持つ。

 元中央軍事委員の回想録には首相らとの交渉で待遇改善を勝ち取る場面が得意げに書かれている。

 今秋の党十八回大会で総書記を引退しても軍事委主席に留任を目指す胡主席、胡氏の後を継ぐ習副主席は軍の支持が欠かせない。周辺国の抱く不安は高まる愛国主義とともに中国の特異な党軍体制が招く軍拡にも向けられている。

 

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