HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 32379 Content-Type: text/html ETag: "76d2f8-5d18-2fe15580" Cache-Control: max-age=3 Expires: Wed, 07 Mar 2012 03:21:05 GMT Date: Wed, 07 Mar 2012 03:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

朝日新聞社説のバックナンバー

 社説のバックナンバーは、下記の有料サービスでお読みいただけます。

2012年3月7日(水)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

自然エネルギー―普及のための工夫を

風力などの自然エネルギーを電力会社が発電会社から固定価格で買い取ることを義務づける制度が、7月から始まる。買い取り価格や期間を実質的に決める委員会が6日、ようやく動き出[記事全文]

イラン核開発―非軍事の圧力で止めよ

オバマ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が会談した。だがイランの核開発をめぐり、外交的解決を求める米国と、武力行使をほのめかすイスラエルの足並みがそろわない。イランは[記事全文]

自然エネルギー―普及のための工夫を

 風力などの自然エネルギーを電力会社が発電会社から固定価格で買い取ることを義務づける制度が、7月から始まる。

 買い取り価格や期間を実質的に決める委員会が6日、ようやく動き出した。委員の人事案を昨年末に国会に提出したが、与野党から「制度に反対だった人がいる」と再考を求められ、メンバーを一部入れ替えて承認された。時間はない。作業を急がなければならない。

 買い取り制度は自然エネルギー普及のカギを握る。長期間、適正な利潤が出るような固定価格が保証されれば、自然エネルギーへの投資が増える。

 ただし、買い取り費用は電気料金に上乗せされる。負担するのは消費者だ。

 買い取り価格が低すぎたり、期間が短すぎたりすれば普及が進まない。かといって、高すぎたり長すぎたりすれば、家庭や企業の負担が増える。投資バブルも引き起こしかねない。

 どうバランスをとるか。委員会の役割は、きわめて重い。

 一口に自然エネルギーといっても、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど電源によって特性は異なる。発電所の規模によっても費用は違ってくる。

 委員会は、こうした細かい区分ごとに1キロワット時当たりの価格と期間を決める。技術の進歩や量産効果による発電コストの低下、金利動向などに目を配り、毎年、新規の設備に対する買い取り価格を改定する。

 議事は公開され、算定の基準や計算式も国会に報告する。

 早く参入したほうが有利になる設計も求められるだろう。電気だけでなく熱も利用できるような効率のいい設備の導入を促す仕組みも考えたい。

 既存の風力発電の中には、建設時に補助金は得たものの、買い取り価格が低すぎて経営難に陥っているところもある。

 今のところ新制度の対象外だが、発電量を増やす意欲のある事業者は、枠組みに入れることを工夫すべきだ。

 何より、電力大手の都合で送電網への接続が不当に阻まれることがないようにしなければ、新規事業者は安心して投資ができない。

 政府は厳しく監視するとともに、送電網の中立化へ電力システム改革を急ぐべきだ。電気料金も、消費者が自由に電源を選んで必要なコストを負担する体系にする。

 自然エネルギーの担い手を増やし、産業として自立できるよう、上手に育てる。法律の目的がそこにあることを忘れてはならない。

検索フォーム

イラン核開発―非軍事の圧力で止めよ

 オバマ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が会談した。だがイランの核開発をめぐり、外交的解決を求める米国と、武力行使をほのめかすイスラエルの足並みがそろわない。

 イランは国連安全保障理事会の決議を無視して、核兵器製造につながりかねないウラン濃縮を続けている。

 イスラエルはイランの核武装を阻むために空爆するのではとの観測が出ている。イランの核兵器保持は自国の軍事的脅威であり、その前につぶすという先制攻撃論に立っているためだ。しかし、ことさらに軍事攻撃の可能性を語るのは、イラン国民の反発や怒りをあおり、平和的解決の障害となる。

 イランは攻撃されればペルシャ湾の出入り口のホルムズ海峡の封鎖などの報復に出る、と威嚇している。日本向け原油の8割が通る要所だ。

 両国の間に長年続く相互不信や疑心暗鬼によって、不測の事態になれば、中東も世界も大混乱になる。

 もちろん、イランは核開発の疑惑を晴らす必要がある。

 そのために安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランとの核協議の場がある。協議は3年以上開かれていないが、イランのアフマディネジャド政権は最近、交渉再開に応じる用意があることを伝えた。

 もともと、イランの宗教界には「(非人道的な)核兵器はイスラムに反する」という基本的な議論があり、保守派の最高指導者ハメネイ師も核兵器開発を支持しているわけではない。

 問題は、革命防衛隊出身のアフマディネジャド大統領が軍国化を進めるなかで核武装に進むのではないか、という懸念である。大統領とハメネイ師の間も一枚岩ではない。

 今月初めにあった国会議員選挙では、ハメネイ師に近い反大統領派が圧勝した。大統領の経済政策に対して国民が反発したためとされる。

 強硬発言で知られる大統領だが宗教者と国民に挟まれて、内政外交を切り盛りする立場だ。保守派の反対で実現しなかったが、核交渉で濃縮ウランを国外に持ち出して代わりに医療用ウラン燃料の提供を受けるという妥協案で動いたこともある。

 イランが交渉再開への姿勢を見せたのも、米国の石油禁輸に欧州が同調し、制裁の効果が出てきたためと理解されている。

 いまこそ国際社会が一致してイランに圧力をかけ、イスラエルが早まった行動をとらないように働きかけつつ、交渉による解決を探る時である。

検索フォーム

PR情報