HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49580 Content-Type: text/html ETag: "f600f-13b3-4ba816af0726c" Expires: Mon, 05 Mar 2012 20:21:19 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 05 Mar 2012 20:21:19 GMT Connection: close 3月6日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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3月6日付 編集手帳

 〈見事に正しく(まき)が積まれているのですね〉。戯曲『夕鶴』の主人公つう役で知られた女優の山本安英さんは、初めて馬場馬術の競技を見て、感想を述べたという◆劇作家の木下順二さんが随筆集『ぜんぶ馬の話』(文芸春秋刊)に書き留めている。〈(薪が)一本一本、正確に。それでなかったら、あの馬がどうしてあんなに燃えるものですか〉と◆「薪を積む」とは、人と馬が心を通わせる過程を指すらしい。雑に積めば炎は乱れ、首の動きも足の運びもままならない。人馬一体はなるほど、薪と炎の理想型にもたとえられる◆法華津(ほけつ)寛さん(70)と愛馬ウイスパー号の間柄もそうだろう。法華津さんがロンドン五輪・馬場馬術個人の代表に決まった。東京、北京に続く3度目の五輪出場で、自身のもつ五輪「日本人最年長」記録を更新する。北京五輪では“(じじ)の星”を自称なさったが、何をおっしゃる。日本人みんなの星でありましょう◆「健闘を祈る」といった音量の高い声援は、薪の炎を乱してしまうようで、少々はばかられる。いまは朗報の暖炉に遠くから凍えた手をかざしつつ、晴れの舞台を待つとする。

2012年3月6日01時28分  読売新聞)

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