HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 06 Mar 2012 03:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:プーチン氏再登板 領土交渉への道筋を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

プーチン氏再登板 領土交渉への道筋を

 ロシア大統領選でプーチン首相が勝利した。実力者の再登板で、北方領土交渉進展への期待も出ている。民主主義や人権など価値観を近づける努力を通じ、解決への道筋をつけたい。

 プーチン氏は選挙公約でのばらまきを通じ軍治安機関、公務員など支持基盤の保守層の支持を取り付けたが前途は多難だ。昨年十二月の下院選に続いて、再び不正疑惑が指摘される。都市の中間層が中心となり、腐敗や不正を糾弾し、プーチン氏退陣を求める運動はさまざまな形態で続くだろう。

 ソ連崩壊後、最大規模となった昨年末以来の反政権行動は、民主主義を支える市民社会が成長していることを示した。帝政ロシア以来、伝統的に国家が社会に絶対的に優位を占めるロシアで歴史的な地殻変動が進行している。強い国家を信奉するプーチン氏もこの動きに逆らうことは困難だ。ロシアは視界不良の時代に入った。

 一方、日ロ関係は仕切り直しとなりそうだ。プーチン氏は選挙直前に行われた一部外国紙との会見で、北方領土問題の解決に「意欲」を示した。関係改善への動きは歓迎するが発言は重大な問題をはらむ。「経済関係を発展させ妥協点を見いだしたい」と語りながら、歯舞群島と色丹島の引き渡しを明記した一九五六年の日ソ共同宣言が最大の譲歩という姿勢が明白だ。そのうえ、両島が引き渡し後「どちらの国の主権下に置かれるかについては、明記されていない」と独自の解釈をつけている。

 プーチン氏はペレストロイカ以前のソ連同様、スターリンの拡張主義を正当化し、日本の四島返還要求を「極端な立場」とする姿勢を堅持してきた。反政権行動が拡大すると「背後に米国の指示がある」などと反米姿勢を強めており、対米関係悪化を見越して、産業構造の転換など、経済近代化で協力が必要な日本との関係改善を持ち掛けた可能性が高い。

 市民社会と向き合うと明言するプーチン氏が、日本とも真の信頼関係を築きたいと望むなら、ソ連的発想から再び転換したことを示すべきだ。自由、民主主義や人権など普遍的な価値を共有することを宣言した九三年の「東京宣言」の意義を再確認することから始めたい。

 日本側は、軽挙妄動し誤ったメッセージを送る愚策は繰り返すべきではない。民主化によるロシアの変化をも見越した対ロ外交の再検討が急務である。

 

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