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3月4日付 編集手帳

 〈みんなが爆弾なんか作らないで、きれいな花火ばかり作っていたら、きっと戦争なんて起きなかったんだな〉。画家の山下清は、鑑賞者が目を見張る作品を、心の()も開かせる言葉とともに残した◆代表作の貼り絵「長岡の花火」と対を成すのが冒頭の寸言である。新潟県長岡市は終戦直前に空襲で焦土と化した。三尺玉で有名な日本屈指の花火は毎年8月、戦争犠牲者を悼んで打ち上げられてきた◆そこは、米国には忘れられぬ真珠湾攻撃を指揮した山本五十六元帥の故郷でもある。あの戦禍を繰り返すまい、と訴えるのに、長岡とホノルルほどふさわしい組み合わせはないだろう◆そう考えた長岡の人たちが4日(日本時間5日)、ホノルルフェスティバルで自慢の花火を披露する。実は昨年に行われる予定が、直前の大震災で延期になっていた。今回、さらなる鎮魂と復興への思いも加え、ハワイの夜空を彩る◆「今年の花火見物はどこへ行こうかなあ」「やっぱり長岡かな」。放浪の画家は最期に、家族とそんな会話をして逝ったという。ホノルルも良さそうですよ、と、天に向かって勧めてみるとしよう。

2012年3月4日01時12分  読売新聞)

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