HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 02 Mar 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:北朝鮮核「中断」 履行せねば支援望めぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

北朝鮮核「中断」 履行せねば支援望めぬ

 北朝鮮が米国との協議で、核実験やウラン濃縮活動を一時停止すると合意した。金正恩体制になって初の外交決断だが、どこまで実行するか。過去、何度も合意を反古(ほご)にしており疑念は晴れない。

 米朝両国は北京で開かれた協議の結果を同時発表した。

 合意は(1)北朝鮮は核実験と長距離弾道ミサイルの発射、さらに寧辺でのウラン濃縮活動を一時停止する(2)北朝鮮は国際原子力機関(IAEA)査察官の復帰を認める(3)米国は栄養補助食品二十四万トンを提供する−が主な内容だ。

 クリントン米国務長官は「正しい方向へのささやかな一歩」と述べた。北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は三年余中断しているが、再開に向けて動きだそう。

 北朝鮮はまずIAEAの査察と検証を受け、ウラン濃縮活動が軍事目的でないと証明すべきだ。

 米国は粉ミルクや栄養ビスケットなどを提供する考えで、近く調整に入る。慢性的な食糧難で苦しむ住民、特に乳幼児や妊産婦の健康回復に役立とう。北朝鮮は穀物など追加支援を求めているが、これは核活動の中断をどこまで履行するかにかかっている。

 北朝鮮は四月に労働党代表者会など国家行事を予定し、正恩氏が党総書記など最高指導者の職に就く可能性が高い。まず支援により食糧を確保して、民心を安定させたいという焦りがうかがえる。

 オバマ政権にも苦しい事情があった。アフガニスタン情勢が悪化しイランも核開発を加速して、東アジアの緊張に対応する余裕はない。北朝鮮を追い込まず、対話と支援を組み合わせて軍事挑発を抑える政策を選んだとみられる。

 発表内容に相違があるのが不安材料だ。北朝鮮外務省の発表では、核活動などの一時停止は「米国と実りある会談が続く間」と限定している。交渉が不調ならいつでも核開発を再開できるという脅しにもとれる。また米国務省は「プルトニウム型原子炉の無能力化でも合意した」と説明したが、北朝鮮は言及していない。今後の協議難航を予告しているようだ。

 今後、カギを握るのは中国だろう。金正恩体制を支えると明言しているが、経済支援をテコに、六カ国協議への復帰と核活動の長期停止を強く働き掛けるよう望む。

 日本は米韓とも連携して北朝鮮の動向を見極めながら、拉致問題解決を視野に入れた日朝協議の再開を模索したい。

 

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