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北朝鮮がウラン濃縮を一時停止する考えを明らかにした。核実験や長距離ミサイルの発射実験も当面しないという。中東でイランのウラン濃縮をめぐってきな臭さが漂うとき、東アジアの[記事全文]
国家公務員の給与を削減する法律が、ようやく成立した。自民党などの要求通り、まず人事院勧告分として0.23%下げ、その分も含めて今春から2年間、平均7.8%減らす。[記事全文]
北朝鮮がウラン濃縮を一時停止する考えを明らかにした。核実験や長距離ミサイルの発射実験も当面しないという。
中東でイランのウラン濃縮をめぐってきな臭さが漂うとき、東アジアの核危機の源である北朝鮮が濃縮を止めるのは、世界の安定を進めるうえでも好ましい。大きな転機になる。
ただ、3年以上も止まっている6者協議を再開する入り口にやっと立ったにすぎない。これを、北朝鮮に核を放棄させる目標に向けて、うまく生かしていかねばならない。
米国と北朝鮮が北京で先日あった協議で基本的に合意していた。金正日総書記亡き後の「金正恩体制」にとって、初めての外交交渉だった。米国は引き換えに、ビスケットなどの栄養補助食品を送る。
早くウラン濃縮を止め、国際原子力機関の監視要員を北朝鮮の核施設に戻すべく、両国を中心に細部を詰めてほしい。
ウラン濃縮によって東アジアの核問題は大きく変わった。
北朝鮮は5千キロワットの実験炉で核爆弾の材料のプルトニウムを量産し、核実験を2回強行した。その施設は老朽化も激しく、いま動いてはいない。
だが2010年秋に米国の核専門家を招き、ウラン濃縮施設を誇示した。原発で使うための平和利用だと説明しているが、濃縮を重ねれば、ウラン型の核兵器を製造できる。
国際的な監視の目がまったく届かないまま、濃縮が進んでいるとみられる。
問題はほかにもある。濃縮施設は、米国に公開したもの以外にもあるだろう。
米韓などはそう判断する。濃縮を一時止めるのは公開済みの施設だけであろう、ということは考えておかねばなるまい。
北朝鮮は核保有国を自任し、それを金総書記の「革命遺産」だとしている。つまり「核はそうやすやすと手放さない」という意味だ。核計画を捨てたうえに結局は倒れたリビアのカダフィ政権を反面教師としてとらえてもいよう。
一方で、朝鮮半島の非核化は故金日成主席の「遺訓」でもある。最終的には、核放棄もありうるということだ。
北朝鮮の核の実態を解き明かし、放棄まで持っていく。国際的に孤立しているこの国にとって数少ない切り札だけに、長く厳しい道のりと忍耐強い交渉を覚悟せねばならない。
ウラン濃縮停止と6者協議の再開は、日本も歓迎できる。拉致問題の解決につないでゆく戦略が再び問われる。
国家公務員の給与を削減する法律が、ようやく成立した。
自民党などの要求通り、まず人事院勧告分として0.23%下げ、その分も含めて今春から2年間、平均7.8%減らす。
人勧より大幅な深掘りとあわせて、政府・民主党がめざした国家公務員への労働基本権の一部回復は先送りされた。それは残念だが、これで2年間に約5800億円を浮かせ、大震災の復興財源にあてることは率直に評価する。
私たちは政府に対し、消費税率を引き上げるのなら、官が身を切る具体策を示せと求めてきた。与野党協調で実現した今回の給与カットは、その一歩といえる。
民主党が公約した「総人件費2割削減」にはまだ及ばないものの、そこに向かう歯車を回す効果も期待する。
ただ、これは2年間の時限措置だ。恒久的に、もっと人件費を削るには、今回のような等級ごとの一律カットより、メリハリのある削り方を探るべきだ。
同じ国家公務員でも、政策立案に携わる部署もあれば、地方の出先機関や現業部門もある。手当などで差をつけているが、もっと働き方を金額に反映させる余地はある。「忙しそうにみえないのに給料が高い」という批判を招かぬような工夫ができるはずだ。
今回、地方公務員については、自治体の自主的対応を促すにとどめた。
財政難で人件費を削ってきたところもあるが、これから2年間は、国家公務員の給与を上回る地方公務員が続出する見通しだ。自治体もさらなる節減に取り組んでほしい。
その際には、民間の似た職種と比べて給与が割高だとの批判が多いバス運転手や清掃職員ら現業部門の「技能労務職員」の処遇がひとつの焦点になる。
一方で、公務員をたたいて憂さを晴らすような風潮は戒めるべきだ。財政の窮状の主因は社会保障費の膨張であって、公務員の人件費ではない。
公務に人材が集まらなくなる事態を避けつつ、人件費を減らす道を冷静に議論すべきだ。
おとといの党首討論で、公明党の山口那津男代表が、国家公務員に続いて、「国会議員も20%の歳費削減をやるべきだ」と呼びかけた。
野田首相も「国家公務員の幹部級は10%削られる。その上の方をにらみながらの判断はあってしかるべきだ」と応じた。
それならば、速やかに与野党で国会議員の大幅な歳費削減策をまとめてみせることだ。