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3月1日付 編集手帳

 カリブ海を荒らし回った18世紀の海賊「黒髯(くろひげ)」はケイマン諸島にも出没したという。〈この島はむかしから海賊を引き寄せてきたんだよ。むかしは『黒髯』。現代の海賊は、会社をつくって財産を隠す連中だ〉◆ジョン・グリシャムの推理小説『法律事務所』(小学館)の一節である。配当などの税金が極端に安い国や地域を「租税回避地」という。英領ケイマン諸島もその一つで、ときに企業の不正会計事件などで名前が出る◆有り金が、いつのまにやら、蒸発する…の頭文字かどうか、「AIJ投資顧問」(東京)なる会社もひと皮むけば、背広を着た海賊の群れであったらしい◆運用を委託されていた年金資産の大半にあたる約2000億円がケイマン諸島経由で転々とした揚げ句に雲散霧消した。運用の失敗か、不正な流用もあったのか実態は不明だが、顧客をだましつづけたのは確かである◆委託していたのは、多くが中小企業で働く人だという。波静かな海辺で人生の美しい夕映えを迎えるために、ひと粒いくらという汗を額に浮かべて工面してきたお金を、跡形もなく食い散らかす。むごい海賊がいる。

2012年3月1日01時33分  読売新聞)

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